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仮払金の意味と使用上の留意点

使用用途が不明、あるいは金額が未確定の場合に概算して支払われる仮払金。
今回は、仮払金の本来の意味と仮払金を使用する際の留意点について触れていきます。


1,仮払金とは

仮払金は、現金や預金等の支払額を一時的に処理する際に使用される勘定科目です。
例として以下のようなものが挙げられます。

・従業員の出張旅費の概算払い
・従業員が備品などを買出しに行く際にかかる経費
・領収書や預金通帳の支払用途が不明であるため、未確定勘定として処理する場合


2,仮払金を使用する際の留意点

仮払金は、前述したように内容不明分の取引の一時的な仮処理として使用される勘定科目であるため、本来は決算を迎えるまでにその使用目的や使用金額を確定させ、適正な勘定科目に振り替えるべきものです。

そのため、たとえ概算であっても内容を確定させ決算時には残高が0になるように処理することをお勧めします。


財務諸表における「仮払金」の取扱・・・

仮払金は資産の中でも「その他の流動資産」に分類されますが、金融庁の財務諸表等規則ガイドラインによると以下のような規定がされております。

「仮払金その他の未確定勘定でその金額が資産の総額の100分の5を超えるものについては、当該未決算勘定の内容を示す名称を付した科目をもって掲記するものとする」
(財務諸表等規則ガイドライン 第19条3より)

つまり、仮払金の金額が資産総額の100分の5を超える場合、取引内容に応じた適正な勘定科目名に変えなければならないということです。

また、決算時に仮払金の残高が残ってしまっている場合、税務署・金融機関等から次のように見なされる可能性があります。そのため、仮払金を使用する際は以下の点にも留意することをお勧めします。

・税務調査の際、会社が資金を私的に流用していると疑われる。
・仮払金が実質的に給与の支払いであるとみなされた場合、源泉徴収漏れとして追加徴税される可能性がある。
・不良資産と見なされ、銀行から融資を受けられなくなる可能性がある。


3,仮払金の仕訳例

以下は、従業員の出張旅費を概算払いした際の仕訳になります。

①旅費交通費等を概算で従業員に払った時
従業員の出張旅費として、現金10万円を従業員に渡した。

 


②精算時、従業員が出張費用を使い切っていなかった場合
従業員が出張から帰り経費精算をした際、旅費交通費が5万円・接待交際費が3万円であった。また、仮払金の残額は現金による返金を受けた。

 
③精算時、仮払した出張費用では足りなかった場合
従業員が出張から帰り経費精算をした際、旅費交通費が8万円・接待交際費が5万円であった。また、従業員が負担した経費は現金で支払った。

 

上記のように仮払金を計上する際は、取引内容を明確にできるように、「交通費の仮払」・「出張旅費の概算払い」などを摘要欄に記載し、決算を迎えるまでに精算を済ませるようにしましょう。


4,まとめ
以上のように、仮払金はあくまで、取引内容が確定するまでの間に仮処理として計上されるものです。取引内容・金額の内訳が判明した場合は速やかに精算し、残高が残ったまま放置されないよう管理することをお勧めします。