以前のブログではプロパー融資の審査基準のB/S部分について触れましたが、
今回はPL部分について触れていこうと思います。
1.経常利益
経常利益とは、企業の正常な収益力を示す指標であるとされている利益です。
普段は発生しないような利益や損失は経常利益には含まれていません。普段発生しない損益とは、預金の利息や保険の返戻金等の、毎年起るようなものではない損益のことです。
売上が一番のポイントと思われる方が多いかと思いますが、売上高が増えていても利益が減っていれば、金融機関の評価は低くなります。
2.営業利益
売上総利益(粗利)から販売費及び一般管理費を指し引いた利益を「営業利益」といいます。
営業利益は、本業がもたらす利益を表しています。この利益が黒字であるなら、本業は健全と言えます。
銀行は、この利益が黒字であることを期待しています。
2.交際費
交際費は売上を獲得するために必要な経費であることは間違いありません。
しかし、増収減益の場合厳しく審査されます。
主な理由としては下記になります。
・減益するほどのお客様獲得費用を使わなければ売上高をあげられない
・個人的な支出も含まれている(公私混同)
節税のために交際費を多めに計上することもあると思いますが、
銀行からの融資を考えている場合は前年の売上と交際費のバランスをみることをおすすめします。
3.減価償却費
減価償却費を計上すると赤字になるため今期は見送るということが一般的ですが、銀行の審査においてこれはあまり意味がありません。
銀行側が見るのはあくまで実態の数字のため減価償却費を計上した後の決算書で審査を行っています。
そのため「減価償却をしないで黒字」を出した企業に対しては、
黒字であるというプラス評価よりも、減価償却を行っていないというマイナス評価をする銀行の方が多いのが現状です。
4.役員報酬
役員報酬+減価償却費+税引き後利益=実際の収益力
例えば、昨年の利益が1,000万円、今年が1,500万円だとしても、社長の給料が、昨年は2,000万円、今年は1,000万円だとすれば、昨年は1,000万円+2,000万円=3,000万円、今年は1,500万円+1,000万円=2,500万円として計算し直し、昨年より今年のほうが実態利益は減っていると評価されます。
この理由は、同族会社において役員報酬は形式的なことが多く、実際の生活費は変わらず、多く役員報酬を計上できる年は節税も兼ねたくさんもらう代わりに、会社の資金繰りが困った場合には自己資産で補填できるように貯めておく傾向があるからです。
まとめ
金融機関が損益計算書の提出を求めるのは、簡単に言えば「儲かっているのか」、「何年で返済できるのか」ということをみるためだけです。
その上で貸借対照表と合わせて見て、表面上の利益と実態の利益にはどの程度違いがあるのかとか、ここ数年の傾向や勢いの確認などをします。
節税対策をすれば利益を落とすことになりますので銀行は貸し渋りますので、事業の拡大や運転資金等で融資を考えている方は節税だけでなくPLの数字も気にしてみることをおすすめします。