2016年度税制改正で、通勤手当の所得税の非課税上限が10万円から15万円に引き上げる事になりました。
「給与」とは金銭で支給されるのが通例ですが、食事の支給や商品の値引販売など金銭以外の「物・又は権利その他の経済的利益」を支給される場合「現物給与」と呼ばれます。
通勤手当は「現物給与」と言われるものの中で一番スタンダードかと思いますが、本来は「金銭給与」も「現物給与」も「給与」とみなし、所得税が発生するものです。
ただし、一部は税法で非課税とされている項目がいくつかありますので、今回のブログでは会社から従業員への現物給与の中で非課税とされている項目とその要件の一部をご紹介致します。
①通勤手当
・交通機関又は有料道路を利用している場合の通勤手当及び通勤用定期乗車券の支給→1ヶ月あたり15万円まで非課税(new!!)
②永年勤続者への記念品
概ね10年以上の勤務した人を対象とし、かつ2回以上表彰する場合は5年以上の間隔をおいている場合→非課税
(基通36―21)
③創業記念品
価格(処分見込額)が10,000円以下で一定期間ごとに到来する記念に際して支給するもの→非課税
(基通36―22)
④食事の支給
昼食時の食事の支給は、従業員が食事価額の1/2以上を負担し、負担額が月額3,500円以下の場合→非課税
(基通36―38の2)
⑤残業、宿日直時の食事
通常の勤務時間外における残業、宿日直者に対して支給する食事→非課税
(基通36―24)
⑥深夜勤務者の夜食代補助
深夜勤務者の夜食代(金銭)で勤務1回につき300円以下のもの→非課税
(昭59直法6―5)
⑦祝いの金品、見舞金等
社会通念上相当なもの→非課税
(基通28―5、9―23)
⑧商品・製品の値引販売
・取得価格以上で、かつ、通常の販売価格の概ね70%以上の価格
・値引率が一律であるか、地位や勤続年数等に応じて合理的に定められている
・値引販売をする商品等の数量が通常消費する程度のものである
以上のいずれにも該当する場合→非課税
(基通36―23)
⑨宿日直料
勤務1回につき4,000円(食事が支給される場合はその価格を控除した残額)→非課税
(基通28―1)
⑩レクリエーション費用の負担
・慰安旅行(海外旅行を含む)→4泊5日以上で従業員の50%以上が参加している場合→非課税
・運動会や慰安会→任意の不参加者への金銭支給や役員だけを対象とする場合を除き→非課税
(基通36―30)
上記に挙げたとおり、現物給与は範囲が広いぶん非課税の要項が複雑なものが多く、誤解や誤りが生じやすいため源泉徴収を対象とした税務調査でもチェックされる箇所です。
源泉徴収漏れを指摘された場合、従業員からの源泉徴収の不足分を改めて徴収することになりかねないので、十分な注意が必要です。
今回のブログでは概要を記載させていただきましたが、現物給与の支給をお考えの際は税理士または税務署にご相談ください。