法人事業税と法人住民税法人税割は、事務所等が所在する都道府県・市町村において課税されます。
事務所等を複数の地域に有する法人は課税標準額を一定の基準で分割して税額を算定します。
この一定の基準を分割基準といいます。
分割基準のブログは2つに分けて紹介し、今回は従業者数を基準とする分割課税標準額の算定を行い、別の回で従業者数と事務所等の数の両方を基準とする税額の算定を行います。
1.分割基準の種類
分割基準は、法人住民税法人税割の場合は従業者の数を使用します。
また、法人事業税の場合は法人の業種によって異なるものを使用します。
法人事業税で使用する分割基準は下記の通りです。
法人の業種は「日本標準産業分類」(総務省)に従って判定します。
複数の事業を営む法人においては、主たる事業についての分割基準を使用します。
原則、売上の最も大きいものを主たる事業として取扱います。
2.従業者数を基準とする税額の計算
(1) 従業者数の意義
従業者は経営者である個人やその親族又は同居人のうち、給与を受けていなくてもその事業において労働している人も含めます。
具体的には役員、アルバイト、パートタイマー、派遣社員も該当します。
(2) 計算の流れ
Ⅰ. 会社の概要
例)A株式会社(製造業)
・事業年度 平成25年4月1日~平成26年3月31日
・資本金 50,000千円
・所 得 1,000千円
・法人税額 171千円
本社の従業員数 7人
B支社(6月開設)の従業員数 4人
合計 11人
Ⅱ. 従業者数の算定
Ⅲ. 法人事業税の分割課税標準額の計算
<本社>
所得金額×本社の従業者数/総従業者数
=1,000千円×7人/11人
≒636千円
<B支社>
所得金額×A支社の従業員数/総従業者数
=1,000千円×4人/11人
≒363千円
上記の636千円と363千円をそれぞれ申告書に記載します。
Ⅳ. 税額の計算
一例として、東京都の税率により計算しております。
<法人事業税>
本社 636千円×2.95%=18,762円 → 18,700円(百円未満切捨て)
B支社 363千円×2.95%=10,708円 → 10,700円(百円未満切捨て)
<法人道府県民税(法人税割)>
本社 109千円×20.7%=22,563円 → 22,500円(百円未満切捨て)
B支社 62千円×20.7%=12,834円 → 12,800円(百円未満切捨て)
<納税額合計>
本社 18,700円+22,500円=41,200円
B支社 10,700円+12,800円=23,500円
上記事例の税額計算では東京都の税率を適用しました。
税率は各地方団体の条例により異なるので、申告の際には実際に適用される税率をご確認下さい。
3.まとめ
製造業の法人は従業者数だけを基準として税額を計算します。
今回は資本金が1億円以下の法人の例を紹介しましたが、資本金が1億円を超える法人には外形標準課税が適用されます。
外形標準課税を含めた場合の実際の申告手続きや取扱いなどは上記の例と異なりますのでご注意下さい。
<参考URL>
分割基準のガイドブック 東京都主税局(PDF)
法人二税の分割基準について 奈良県公式ホームページ(http://www.pref.nara.jp/39128.htm)