国税庁は、さきごろオーストラリア国税庁から、オフショア(いわゆるタックス・ヘイブン国・地域)に所在する事業体(法人や信託等)に関する大量の情報のうち、日本の納税者に関連すると見込まれる情報の提供を受けたことを発表しました。
1.経済協力開発機構(OECD)税務長官会議(FTA)において発表された声明
(1)オーストラリア・英国及び米国の税務当局が、オフショアに所在する事業体に関する大量の情報を入手しており、関連のある情報については情報共有していく。
(2)各国は団結し、国際的な脱税及び濫用的租税回避の断固として対抗し、脱税者及びその幣助者に対しては、どのように脱税を隠蔽しようとも見逃すことはない。
2.国税庁の対応
国税庁は従来から、国際的租税回避の抑止と適正な課税の実現を図るため、各国税務当局と租税条約等に基づく情報交換の積極的な実施に努めており、各国の税務当局と厳密な連携を図っています。
今回オーストラリアから提供を受けた情報についても既に分析を開始しており、今後、国際的な課税逃れや平成26年から提出が必要となる「国外財産調書」の提出義務者の把握の端緒になるものと見込んでいます。
「国外財産調書」の提出制度
平成24年度税制改正において創設された、国外財産を保有する者からその保有する国外財産について申告をする制度(国外財産調書制度)
提出しなければならない人
居住者(「非永住者」を除く)でその年の12月31日において、その価額の合計額が5千万円を超える国外財産を有する人は、その財産の種類、数量及び価額の他必要事項を記載した国外財産調書を、その年の翌年の3月15日までに提出しなければならない。
法施行後最初の国外財産調書は、平成25年12月31日のおける国外財産の保有状況を記載し、平成26年3月17日までに提出する。
(1)国外財産
「国外にある財産をいう」とされる。「国外にある」かどうかの判定は、財産の種類ごとに行うこと。
(2)国外財産の「価額」
その年の12月31における「時価」または時価に準ずるものとして、「見積価額」によること。また、「邦貨換算」は、同日における「外国為替の売買相場」によること。
(3)国外財産調書の記載事項
国外財産小著には、提出者の氏名、住所(又は居所)に加え、国外財産の種類、数量、価額、所在等を記載する。(「国外財産に関する事項については、「種類別」「用途別」(一般用及び事業用)、「居在別」に記載剃る必要がある)
参考
国税庁HP プレスリリース「タックスヘイブンに所在する事業体に関する情報の入手について」
http://www.nta.go.jp/kohyo/press/press/2012/tax_haven/index.htm