第2回目は、「資産課税」についてです。
1.相続税の基礎控除と税率構造の見直し
(1)基礎控除の縮小
改正前:5,000万円+1,000万円×法定相続人数
改正後:3,000万円+600万円×法定相続人数
基礎控除が6割に縮小されました。
この改正の影響で、相続税の課税対象者が現在の約4%から約10%程度まで増加すると言われています。
(平成27年1月1日以後の相続・遺贈について適用)
(2)税率の引き上げ
相続人の取得金額について、2億円超部分が45%に、6億円超部分が55%に引き上げられます。
(平成27年1月1日以後の相続・遺贈について適用)
(3)未成年者控除・障害者控除の引き上げ
相続税額から控除される未成年者控除及び障害者控除の控除額の拡大が図られています。
【未成年者控除】
改正前:6万円×20歳に達するまでの年数
改正後:10万円×20歳に達するまでの年数
【障害者控除】
改正前:6万円(特別障害者:12万円)×85歳に達するまでの年数
改正後:10万円(特別障害者:20万円)×85歳に達するまでの年数
(平成27年1月1日以後の相続・遺贈について適用)
(4)小規模住宅等についての相続税の課税価格の計算の特例の拡大
【居住用宅地のみの場合】
改正前:上限240平方メートル
改正後:上限330平方メートル
【居住用宅地と事業用宅地を併用する場合】
改正前:限度併用(最大で400平方メートル)
改正後:完全併用(最大で730平方メートル)
(平成26年1月1日以後の相続・遺贈について適用)
2.贈与税の見直し
(1)税率構造の緩和
平成27年1月1日以後の贈与から贈与者の区分に応じて税率が変わり、税率も細分化されました。
受贈者が20歳以上の直系卑属(子・孫)である場合とそれ以外の場合とで税率が異なります。
(2)相続時精算課税の適用対象者の拡大
【受贈者】
改正前:20歳以上の推定相続人
改正後:20歳以上の推定相続人及び孫
【贈与者】
改正前:65歳以上の者
改正後:60歳以上の者
(平成27年1月1日以後の贈与について適用)
「相続時精算課税制度」…贈与を受けた財産について2,500万円までは贈与税を支払うことなく、これを超える部分について一律20%の贈与税を納めることになります。
そして相続時(贈与者が亡くなった時)に既に納付した贈与税額を相続税から控除することができる制度です。
生前における贈与による資産の移転の円滑化を促進し、消費を拡大させることで経済を活性化させることが目的で導入されました。
(3)教育資金の一括贈与にかかる非課税措置の新設
直系尊属(曾祖父母・祖父母・父母)から曾孫・孫・子への入学金・授業料等の教育資金を贈与した時の取扱いが改正されました。
銀行等を通じて教育資金を一括して贈与する場合には、1,500万円まで非課税となります。
受贈者が30歳に達した時点で残額があれば贈与税が課税されます。
教育資金の使途は、金融機関が領収書等をチェックし、書類を保管します。
(平成25年4月1日から平成27年12月31日までの3年間の措置)
3.事業継承税制の見直し
「事業継承税制」…中小企業の後継者、現経営者から会社の株式を承継する際の相続税・贈与税の軽減(相続:80%分、贈与:100%分)制度のこと
(1)雇用8割維持要件の緩和
改正前:毎年雇用の8割以上を維持
改正後:5年間平均で8割以上を維持
(所要の経過措置を講じた上で、原則として平成27年1月1日以後の相続又は贈与について適用します。)
(2)納税猶予打ち切りに係る利子税の負担軽減
納税猶予期間に係る利子税率の引き下げ(平成26年1月1日~)
改正前:2.1%
改正後:0.9%
※納税猶予期間が5年を超える場合には、5年間の利子税を免除
参考URL
財務省「平成25年度税制改正 資産課税」
http://www.mof.go.jp/tax_policy/publication/brochure/zeisei13/02.htm

