平成25年度税制改正の内容について、4回に分けてご説明します。
第1回 個人所得課税
第2回 資産課税
第3回 法人課税
第4回 納税環境設備
第1回目は、「個人所得課税」についてお伝えします。
1.所得税の最高税率の見直し
目的…格差の是正及び所得再分配機能の回復。
内容…最高税率、課税所得4,000万円超について、45%の税率が設けられます。
現状の最高税率は、課税所得1,800万超は40%
実施時期…平成27年分の所得税から
2.日本版ISAの創設及び金融所得課税の一体化の拡充
(1)日本版ISAの創設
目的…家計の安定的な資産形成を支援。経済成長に必要な成長資金の供給を拡大し、デフレ脱却を後押しする。
内容…少額投資非課税制度は日本版ISAの口座(非課税口座)で購入した上場株式の配当等及び譲渡益が非課税になります。
1) 非課税対象…非課税口座内の少額上場株式等の配当、譲渡益
2) 非課税投資額…毎年、新規投資額及び継続適用する上場株式等の時価の合計額で100万円を上限(未使用枠は翌年以降繰越不可)
3) 非課税投資総額…最大500万円(100万円×5年間)
4) 口座開設期間…平成26年1月1日から平成35年12月31日までの10年間
5) 保有期間…最長5年間、途中売却は自由(ただし、売却部分の枠は再利用不可)
実施時期…平成26年1月1日から適用
(2)金融所得課税の一体化の拡充
目的…税負担に左右されずに金融商品を選択できるように。
内容…公社債等(公社債投資信託を含む)に係る利子所得及び譲渡損益(売買益・償還益)が申告分離課税になります。
また、公社債等に係る利子所得及び売買損益・償還損益については、上場株式等の配当所得及び売買損益との損益通算ができるようになります。
※特定口座における取り扱いも可能になります。
改正前 改正後
公社債等の利子・収益分配金 20%(源泉分離課税) 20%(申告分離課税)
公社債等の売買損益 非課税 20%(申告分離課税)
公社債等の償還損益 累進税率(総合課税) 20%(申告分離課税)
注1)上場株式等との通算 不可 可能
注2)復興特別所得税は考慮しておりません
実施時期:平成28年1月1日から適用
10%の軽減税率の特例は、平成25年12月31日をもって廃止。
3.住宅税制
目的…消費税率の引上げに伴う一時の税負担の増加による影響を平準化し緩和する。
内容…(1)住宅ローン減税を延長
4年間延長し、平成26年1月1日から平成29年末までとする。
(2)住宅ローン減税の最大控除額の拡充
・最大控除額500万円:認定住宅を取得した場合。
・最大控除額400万円:上記以外の住宅を取得した場合
・最大控除額62.5万円:特定の増改築等を行った場合
・対象期間:上記1)の期間のうち平成26年4月1日から平成29年末まで。
(3)住宅投資減税を拡充
自己資金で認定住宅を取得した場合及び省エネ等の一定の住宅リフォームを行った場合。
・最大控除額65万円
4.復興支援のための税制上の措置
(1)高台移転の促進のための措置
防災集団移転促進事業で行われる土地等の買取りに係る譲渡所得に対しては、5.000万円特別控除が適用される。
ただし、次の一定要件を満たす場合とされます。
1)防災集団移転促進事業が復興特区法の復興交付金事業計画に位置付けられていること。
2)防災集団移転促進事業を含む一団地の津波防災拠点市街地形成施設に準ずる事業(事業期間3年)として知事の証明を受けていること。
(参考)一団地の津波防災拠点市街地形成施設のために土地等が買い取られる場合は、5.000万円特別控除が適用。
対象期間…平成25年4月1日以後に行う土地及び土地の上に存する資産の譲渡について適用。
(2)被災地における住宅対策
東日本大震災の被災者が新たに再建住宅を取得等する場合、住宅ローン減税の最大控除額を他の地域よりさらに引き上げ、現行の360万円から600万円に。
(参考)住宅ローン減税の控除額の改正(上記3-(2)参照)
一般住宅の場合:現行200万円から400万円
認定住宅の場合:現行300万円から500万円