税務調査手続きの法定化 第3回 | アークス総合会計事務所のブログ

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平成23年度税制改正の「税務調査手続の法定化」についてお伝えします。
今まで挙げた内容以外の重要事項と「税務調査手続の法定化」で最後となります。

1..調査終了の際の手続について

(1)調査結果の説明

調査の結果、更正決定等をすべきとなった場合には、納税者の方に対しその理由などの内容を説明します。
その説明の方法は法律上明示されておらず、納税者の方に正しく理解いただけるよう十分な説明を行うとしています。
なお、書面を送付して調査結果の説明を行うこともありますが、納税者側からの要望に応じて調査結果の内容を記載した書面を交付することはありません。

税務代理人のみへの説明等を希望する場合には、調査担当者に対し、電話又は対面によりその旨をお伝えいただくか、税務代理人を通じて税務代理人への説明を同意する書面を提出していただくことが必要になります。

(2)説明後の手続

調査の結果、修正申告の勧奨されたとしても応じるかどうかは納税者の任意の判断となります。
応じなかった場合は、調査結果に基づき更正等の処分を行うこととなります。
だからといって、修正申告に応じた場合と比較して不利な取扱いを受けることは基本的にはありません。

また、勧奨に応じて修正申告をした場合、更正の請求をすることはできますが、不服申立てをすることはできません。

(3)不服申立てと更正の請求の違い

不服申立て…「税務当局」が行った更正等の処分の税額等が過大であると納税者の方が考える場合に、処分の取消しなどを求めるための手段です。
更正の請求…「納税者」が行った申告の税額等が過大であったと納税者の方が考える場合に、申告した課税標準等又は税額等を減額する更正を行うことを求めるための手段です。

2.再調査について

ある税目・課税期間について調査を行った場合には、原則として再度の調査を実施することはありません。
ただし、例えば、調査終了後に行われた取引先の税務調査で、当初の調査の際には把握されていなかった非違があることが明らかになった場合のように、法令上定められている「新たに得られた情報に照らして非違があると認めるとき」との要件に該当する場合は、既に調査の対象となった税目・課税期間であっても再調査を実施することがあります。

3.白色申告者に対しての理由附記

今回の改正で白色申告者等に対する更正処分を行う場合(推計による更正の場合を含みます。)にも、理由が附記されることになります。
なお、この理由附記の対象が拡大される時期は、原則として、平成25年1月1日以後に行われる更正処分や加算税の賦課決定処分から対象となりますが、個人の白色申告者等に対しては経過措置があります。

個人の白色申告者等のうち、下記の方を対象に
理由附記を実施することとされています。

①平成20年~25年までのいずれかの年において記帳義務・記録保存義務があった方等は平成 25 年1月から
②それ以外の方は平成 26 年1月から


また、「記帳・帳簿等の保存が十分でない白色申告者に対しては、その記帳・帳簿等の保存状況に応じて理由を記載する」(平成 23 年度税制改正大綱)とあります。
理由の記載に当たっては、記帳や帳簿等の保存が十分な事業所得者等の場合には、帳簿等と対比して、具体的な取引内容を明らかにして、根拠を示すことになります。
一方で、記帳・帳簿等の保存が十分でない白色申告者に対しては、例えば、勘定科目ごとに申告漏れ総額を根拠とともに示す必要があります。
平成 23 年度税制改正大綱の趣旨等を踏まえ、記帳や帳簿等の保存の程度に応じて、納税者の方がその記載内容から了知し得る程度に理由附記することとしています。

4.その他

(1)調査対象の拡大

調査の過程で、事前通知を受けた税目・課税期間以外にも調査が及ぶこととなる場合があります。
実地の調査を行う過程で、把握された非違と同様の誤りが事前通知をした調査対象期間より以前にも発生していることが疑われる場合のように、事前通知した事項以外の事項について非違が疑われた場合には、事前通知した事項以外の事項について調査を行うことがあります。
この場合には、納税者の方に対し、調査対象に追加する税目、課税期間等について説明し理解と協力を得た上で行いますが、当初の調査の場合と同様、追加する理由については説明することはありません。

(2)調査の立ち会い

調査に立ち会って、税務当局に対して納税者の方の代わりに調査につき主張・陳述を行うことは税務代理行為に当たりますから、原則として、税務代理人しか行うことはできません。
また、単に調査に立ち会うだけであっても、第三者が同席している状態で調査を行うことで調査担当者に課せられている守秘義務に抵触する可能性がある場合には、税務代理人以外の第三者の立会いはできません。
ただし、その方が、日頃、納税者の方の記帳事務等を担当しているような場合には、調査を円滑に進めるために、調査担当者が必要と認めた範囲で調査に同席いただくことはあります。

つまり、調査の立ち会いが出来るのは

・納税者  …○
・税務代理人…○
・記帳補助者…△(調査担当者が認めた範囲のみ)

となります。

以上までが税務調査の法定化に関する詳細です。