改正労働者派遣法が平成24年10月1日から施行されました。
この改正により、グループ経営を行うなかで子会社を使って消費税の負担を軽減するという手法ができなくなったということです。
子会社を作って親会社に派遣する方式をとった場合、親会社は派遣の人件費分を課税仕入として処理することができました。
派遣元の子会社の1期目は、免税となるので、派遣の人件費分の消費税を節税することができました。
exp.
親会社 … 派遣先
子会社(1期目) … 派遣元
派遣の人件費 … 21,000,000円(税込)
1期目の子会社は売上分となる消費税1,000,000円が免税となります。
親会社にとっては1,000,000円の仕入税額控除があるため節税効果がありました。
この労働者派遣法の改正による、主なポイントは以下の3つです。
1.派遣割合の規制(23条の2)
派遣会社と同一グループ内の事業主が派遣先の大半を占めるような場合は、派遣会社が本来果たすべき労働力需給調整機能としての役割が果たされないことから、派遣会社がそのグループ企業に派遣する割合は全体の8割以下に制限されます。(グループ企業の8割規制)
派遣割合とグループ企業の範囲は下の図を参照してください。
(厚生労働省HPより)
※持分法適用会社は、関係派遣先の範囲に含まれません。
2.離職労働者の派遣の禁止(35条の4)
本来直接雇用とすべき労働者を派遣労働者に置き換えることで、労働条件が切り下げられることのないよう、派遣会社が離職後1年以内の人と労働契約を結び、元の勤務先に派遣することはできなくなりました(元の勤務先が該当者を受け入れることも禁止されます)。
この場合の離職した労働者は正社員に限定されません。
(厚生労働省HPより)
※1 60歳以上の定年退職者は禁止対象から除外されます。
※2 禁止対象となる勤務先の範囲は事業者単位となります。
3.日雇派遣の原則禁止(35条の3第1項)
日雇派遣については、派遣会社・派遣先のそれぞれで雇用管理責任が果たされておらず、労働災害の発生の原因にもなっていたことから、雇用期間が30日以内の日雇派遣は原則禁止になりました。
ただし、下記の場合は例外として認められます。
(1)禁止の例外として政令で定める業務について派遣する場合
(ア)60歳以上の人
(イ)雇用保険の適用を受けない学生
(ウ)副業として日雇派遣に従事する人
(エ)主たる生計者でない人
※(ウ)は生業収入が500万円以上、(エ)は世帯収入が500万円以上の場合に限ります。