特定支出控除とは、その年中の支出のうち下記の支出の合計額が給与所得控除を越える場合、越えた部分を所得から控除することができる制度です。
(1)通勤に必要な支出
(2)転勤に伴う転居に必要な支出
(3)職務の遂行に必要な研修及び資格所得に関する支出
(4)単身赴任の帰宅旅費
1.適用時期
所得税は平成25年分から、住民税は平成26年度分から適用になります。
2.適用範囲
弁護士、公認会計士、税理士などの資格取得費、勤務必要経費(図書費、衣服費、交際費)が追加されました。
前提条件:(1)給与等の支払者から補填される部分は含みません。
(2)給与等の支払者によって証明されていること。
対象となるもの
(1)通勤費:通勤のために必要な交通機関の利用又は交通用具の使用のための支出
(2)転居費:転任の事実が生じた日以後1年以内にする転居のための支出
(3)研修費:職務の遂行に直接必要な技術又は知識を習得することを目的として受講する研修の支出
(4)資格取得費:その支出が職務の遂行に直接必要なものの支出
平成24年分以前の年分においては、弁護士、公認会計士、税理士、弁理士、医師、歯科医師などの資格を取得するための支出は特定支出の範囲から除かれています。
(5)帰宅旅費:下記の条件における勤務する場所又は居所とその配偶者その他の親族が居住する場所との間のその方の旅行の支出
1)生計を一にする配偶者との別居を常況とすることとなった場合
2)生計を一にする所得金額の合計額が38 万円以下の子
3)生計を一にする特別障害者である子
(6)勤務必要経費:職務の遂行に直接必要なものの支出で以下に該当するもの
1)図書費:職務に関連するものを購入するための支出
2)衣服費:勤務場所において着用することが必要とされるものを購入するための支出
3)交際費等:仕入先その他職務上関係のある者に対する接待のための支出
3.判定の基準:給与所得控除額の2分の1(改正前:控除額の総額)となりました。
その年の特定支出の合計額が下記の金額を超える場合には、その越えた部分を控除できます。
(1)年収1,500万円を以下の場合:その年中の給与所得控除額の2分の1に相当する金額
(2)年収1,500万円を越える場合:125万円

控除を受けるための手続き
特定支出控除は、確定申告書、修正申告書又は更正請求書(以下「申告書等」といいます。)にその適用を受ける旨及び特定支出の額の合計額の記載をするとともに、特定支出に関する明細書及び給与等の支払者の証明書の添付がある場合に限り適用することができます
【参考】
年収450万円で賞与がなく、2人家族(扶養が一人)の方の場合
特定支出の合計額が1,000,000円だとしたら
給与所得控除の額:1,440,000円
基準金額(給与所得控除額の2分の1):720,000円
1,000,000円 - 720,000円 = 280,000円
特定支出控除の金額は280,000円となります。
この条件で特定支出控除を利用した場合とそうでない場合の図を下記に記載します。

この場合、節税額は、所得税14,000円、住民税22,000円となります。
また、家計について考えた場合

ここから家族の家賃や生活費を考えると特定支出控除を使うために基準を超えて支出するのはかなりの負担になると思われます。