平成23年12月2日に東日本大震災からの復興のための施策を実施するために必要な財源の確保に関する特別措置法(平成23年法律第117号)が公布され、「復興特別所得税」が創設されました。
1.概要
平成25年分の所得税から、所得税額×2.1%の復興特別所得税額を付加されます。(平成49年まで)
平成25年1月1日以後、受け取るもの、支払うものについて、下記の通り税率が変更になります。
(1)復興特別所得税の範囲
1)利子・配当所得
2)給与所得
3)退職所得
4)公的年金等
5)報酬、料金等
6)非居住者の所得
7)国外株式の配当
8)上場株式等の配当等
(2)実務に係わる源泉徴収の税率や注意点
1)利子・配当所得 …利子 : 15% + 0.315%(=15%×2.1%)
配当(上場株): 7% + 0.147%(= 7%×2.1%)
配当(その他): 20% + 0.420%(=20%×2.1%)
2)給与所得…「源泉徴収税額表」が新しくなりますので、そちらをご参照ください。
http://www.nta.go.jp/shiraberu/ippanjoho/pamph/gensen/zeigakuhyo2012/data/all.pdf
3)退職所得…「退職所得の受給に関する申告書」が提出されている場合、速算表により算出することができます。
http://www.nta.go.jp/shiraberu/ippanjoho/pamph/gensen/zeigakuhyo2012/data/05.pdf
「退職所得の受給に関する申告書」が提出されていない場合は、退職手当等の収入金額に20.42%を乗じた税額(1円未満の端数切捨て)を源泉徴収します。
4)報酬、料金等 …支払金額が100万円以下:10.21%
支払金額が100万円超 :20.42%
5)非居住者の所得 … 租税条約の規定によって、国内法に規定する税率以下の「限度税率」が適用される場合は、復興特別所得税は課されないこととされている。
2.住宅ローン控除と復興特別所得税
年末調整や確定申告の時に計算する住宅ローン控除ですが、従来は下記の計算式でした。
算出税額 - 住宅ローン控除額 = 納める所得税額
来年度より下記の計算式となります。
(算出税額 - 住宅ローン控除額)×102.1%(復興特別所得税) = 納める所得税額
つまり、住宅ローン控除をした後に復興特別所得税が計算されることとなります。
3.預金利息の割り戻しの計算式
預金利息の入金額から税額や利息総額を計算する場合、従来までは入金額に80%で割り戻し計算をしていました。
復興特別所得税が創設されたことより、79.685%で割り戻し計算をすることになります。
最後に実務にあたっての参考例を記載します。
(例)預金利息の入金額 8,000円の場合
・利息総額の計算 : 8,000円 ×79.685% = 10,039円
・源泉所得税額の計算 :10,039円×15%=1,505円
・復興特別所得税額の計算 : 1,505円×2.1%=31円
・利子割額の計算 :10,039円× 5%=501円
よって各内訳は下記のようになります。
・預金入金額 : 8,000円
・源泉所得税額 : 1,505円
・復興特別所得税額 : 31円
・利子割額 : 501円
・利息総額 :10,037円