従来までは、事務側の運営に委ねられており明確な規定は存在しませんでしたが、この改正によって国税の税務調査の手続きについて初めて法定化されました。
主なポイントは3つあります。
1. 税務調査の事前通知
税務署長等は、税務職員に実地の調査において質問検査等を行わせる場合には、あらかじめ納税者に対し、調査を開始する日時等を通知することとされました。
通知内容は以下のとおりです。
(1) 税務調査を開始する日時
(2) 場所
(3) 税務調査の目的
(4) 対象となる税目(法人税、消費税、源泉所得税etc)
(5) 対象となる課税期間
(6) 対象となる帳簿書類その他の物件
(7) 対象者の氏名及び住所又は居所
(8) 担当職員の氏名及び所属官署
(9) (1)又は(2)に掲げる事項の変更に関する事項
また、事前通知を要しない場合もあります。
「国税に関する調査の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがある場合」
これについて法令解釈通達に例示されているものは下記の通りです。
(1) 調査の実施を困難にすることを意図し逃亡する
(2) 帳簿書類等を破棄し、移動し、隠匿し、改ざんし、変造し、又は偽造する
(3) 適正な記帳又は書類の適正な記載と保存を行っている状態を作出する
(4) 従業員や第三者に対し、上記の行為を行うよう要請する
(5) 従業員や第三者に対し、調査への協力を控えるよう要請する
上記の行為が行われると予想される場合等が該当します。
(「国税通則法第7章の2(国税の調査)関係通達の制定について(法令解釈通達)」より)
2. 税務職員の質問検査権
質問検査権の一環として、調査担当者が帳簿資料などの提示又は提出の要求をできることが法律上明確化されました。
また、必要がある場合には納税者の承諾を得た上で提出された帳簿書類などを預かります。その際には、預かり証が発行されます。預かる必要が無くなった場合にはすみやかに返却するとされています。
下記の事項に該当する場合、罰則の定めがあります。
(1) 質問事項に対し偽りの回答をした場合若しくは検査を拒否した場合
(2) 正当な理由がなく提示若しくは提出の要求に応じない場合
(3) 偽りの記載をした帳簿書類の提示をした場合
上記に該当した場合、「1年以下の懲役又は50万円以下の罰金」に処せられてしまいます。
3. 調査結果の説明と修正申告や期限後申告の指導
調査終了の際の手続きについて、次の通りに整備されました。
(1) 税務署長は、実地の調査を行った結果、更正決定等をすべきと認められない場合には、その旨を書面により通知します。
(2) 更正決定等をすべきと認められる場合には、税務職員は調査結果の内容を説明します。
(3) 上記(2)を説明する場合、その職員は修正申告等を指導することができます。
この場合、その調査結果に基づいて申告書を提出した場合には不服申立てをすることはできないが、更正の請求をすることはできる旨を説明するとともに、その旨を記載した書面を交付しなければならない。納税者がこの書面を受領した際には、署名と押印を求められます。
以上が、税務調査に関する改正内容となります。