先週アップの「死なない」の続き→
「怖くないの?戦場に出て、戦うなんて…」
「そうだな…、あまり考えたことなかったかもな。自分が死ぬなんて考えもしなかったし、…少なくとも、身近な仲間が死ぬまでは」
「…」
ニコルの死を目の当たりにして、誰もが死ぬ可能性があると改めて思い知った。俺やイザークも、死ぬかもしれない。もうこれ以上仲間を失わない為に戦わなければ、ニコルの分まで。そう思った矢先に、俺はAAの捕虜となった。
自分が死ぬことを恐れて投降した、あぁそうだ、俺は負け犬で臆病者だ。だからつい、泣いていた少女に八つ当たりした…。
「…今は、怖いの?」
「………ちょっとな」
痛い所を付いてくる。怖いのは、戦場で元仲間と、…イザークと対峙するかもしれないこと。
そして、もしもこの目の前のたったひとりの女の子を守れなかったら、…そう思うと恐ろしい。
哀しそうに目を伏せたお前は、そんな俺の弱さに気付いていたのだろうか。
不思議だよな、頼まれた訳でもないのに。大概鬱陶しがらるだけなのに。名前をちゃんと呼ばれたことすら、数える程しかないのに…。
『ディアッカッ!!!』
「…」
瞼が重い、体が動かない。体中が痛い…。幻聴まで聞こえるとは、俺、死んだのか…?AAはどうなった?アイツは無事か…?
『ディアッカッ!応答して!』
「…ミリ、アリア…」
『ディアッ?!無事なのね?生きてるのね?!』
「…AAも…」
『大丈夫よ、アンタが守ってくれたから』
本当か?何とか目を開ける。機器は半分以上がイカレていた。エネルギー残量は極僅か、何とか宙に浮いている状態のようだ。声は聞こえるが、画面は死んでいた。
「…そっか、良かった…」
『うん、私もアンタも生きてる。だから早く戻ってきて、ディアッカ』
「…あぁ」
早く帰って、その顔を見ないと安心出来ない。早く帰ろう、今俺が命にかえても守りたい、大切な場所へ…。