★ドリライのリョ&カルピンのイメージ話の前編。
Uー17W杯が終り、日本に帰ってきた。青学の3年生達はこれで完全に部活から引退となる。ライバルだった他校の中学生達とも仲間となったが、また全国大会を戦うライバルに戻る。なかなか出会うことのない高校生達とも、元の接点のない全く別世界の生活に戻る。
熱戦を繰り広げた世界各国の選手達も、それぞれ海を越え遥か彼方へと戻っていった。…兄貴ともまた離れ離れ…。
日本に帰ってきて、自宅に戻ってきた。何の変哲もない元の日常生活に戻ってきてしまった。
…あぁ、寂しい。これからも変わらずテニスは出来る。親父には嫌という程毎日勝負を挑める。来年も青学で全国連覇を果たす為、明日から新体制での部活が再開される。他校との練習試合、合同合宿をしようと話が進んだ。徳川さんを始め、高校生とも定期的に練習をする約束を取り付けた。次のW杯でも勝つべく、もっともっと強くなる。
進化を止める訳にはいかない。誰よりも強くなりたい、誰よりもテニスを楽しみたい、まだ知らぬ強い相手と戦いたい、ずっとずっと、テニスをしていたい…!その気持ちは強まる一方だけれど。
…やはり心にぽっかりと穴が開いたようで、少し虚しい。今は親父に勝負を挑む気にもなれない。桃先輩辺りを誘うという気も起きない。自室のベッドに独り寝転がり、天井を見上げる。
あぁ、詰まらない…。
「ほあらー」
「カルピン…」
するりと部屋に入ってきて、ベッドにピョンと飛び乗り、可愛く鳴いて擦り寄ってきた。
「そうだよな、数ヵ月ずーっと会えなかったからな、寂しかったよな。ごめんな、カルピン」
「ほあらー…」
「そうだ、豪州のキャットフードと猫のオモチャ、お土産に買ってきたんだ」
「ほあらー?」
「どう、美味しい?そっか、良かった」
「ほあらー」
お土産をあげ、喜ぶ様子に思わず微笑みながら柔らかな毛並みを撫でる。何度も何度も、離れていた時間を取り戻すように。
「…会いたかったよ、カルピン。大会は楽しかったけど、お前がいなくて寂しかった。やっぱりお前は世界一の猫だな。大好きだよカルピン」
「ほあらー!」
「ハハハ、くすぐったいって。分かったってば、お前も寂しかったんだな。しばらく遠征とかしないから、ごめんって」
「ほあらー」
「本当に可愛いな、カルピンは」
抱き上げて長い毛並みに顔を埋め、思い切り猫吸いをしていると、不意に気配を感じた。ハッとしてドアを見ると…。
→リョ桜王子、pixivアップ済