◆G種(DM) フィナーレ | 雑種犬 G種ディアミリ/テニミュリョ桜王子/DCジンシェリ・秀明 等小話ブログ

★フィナーレを始めよう

 

 

 

食堂で彼女の姿を探す。鬱陶しがられながらも、向かい合って一緒に食事をとる。そこだけ見れば、まるで学生生活に戻ったような感覚に陥る。だが一度戦闘となれば、AAを守る為に命懸けで戦いへと、彼女の声で送り出される。言葉にこそ出さないが、必ず無事に戻ってという想いを感じながら戦う。全てはこの戦いを終らせる為に、彼女を守る為に。

 

今のこの生活がずっと続けば良いのにと、ふとした瞬間思う。勿論戦争は一日でも早く終らせなければならない。それは分かっているが、彼女と一緒にいられるのは、今が非常時だからだ。戦争が終れば、この生活は終る。もう一緒にはいられない…。そう思うと、終って欲しくないと思ってしまうのだ。

 

戦争中でなければ、恐らく出会うことのなかった俺達。元敵同士、最悪の出会いをしなければ、ここまで深い関係性を築けなかっただろう。だが戦争が終れば、離れ離れの生活に戻るのだ。大いなる矛盾、自己嫌悪。そんなことを考えているなんて、彼女が知ったら軽蔑するだろう。絶対に悟られぬようおくびにも出さないが、それでも内心、この特別な時間が終らなければ良いと思ってしまう…。

 

 

 

「ハァ…」

「何溜息なんか吐いてるのよ、辛気臭いわね」

「イテッ!」

 

背中をバシッと叩くと、彼女はそのまま食堂を出て行った。彼女なりに元気付けようとしてくれているんだと思うと、ジーンと嬉しさが広がっていく。

特別な今が幸せ、それを噛み締める。終って欲しくはないけれど、いつかは必ず終る、終らせなければならない。だからこそ今を大切に、最後のその時まで。きっとこの日々は一生忘れない、胸に刻んで生きていける。離れてもきっと、この絆は切れることはないから、繋がり続けていられるから、俺達なら。

 

きっと終らないから、俺達の物語は、これからもずっと。

 

 

 

 

 

テニミュドリライ、卒業公演を見ながら。