あれからもうじき一年。
まさかこんな状態が、こんなに長く続くとは思っていなかった。
幾つもの偶然、幸運、または不幸の重なりで生まれた”灰原哀”。
多くの犠牲、努力、想いで、今日もこうして生かされ続けている。
あの時あのまま、殺されていた方がマシだった。
あの場で死んでいればと、後悔する日もあるけれど。
”シェリー”のままだったら、独りで死ねたのに。
喜んでお姉ちゃんの元に、会いに行けたのに…。
「お腹空いた、博士」
「家まで待てないの、元太君?」
「もう少し走った所に、美味しいレストランがあるぞ」
「やったぜ!うな重あるか?」
日々強くなる想い。
大切な人達、掛け替えのない宝物。
それを失いたくない、離れたくない、このままずっと続いて欲しい…。
どんなに想っても、いつ終るとも知れない、この生活。
いつまでも続くものなんて、永遠なんてない。
サヨナラは必ず訪れる。
せめてそれが、出来るだけ遠ければ良い。
”灰原哀”だけ、ここから消えるだけなら良い…。
「あれ?確かここの筈じゃが…」
「スマホで調べましょうか?なんていう店ですか?
…あぁ、半年前に閉店してますね」
「えぇっ?!知らなかった…。
安くて美味しい店じゃったのに…」
何事にも、終りは必ず訪れる。
私の命にも、貴方の人生にも、貴方と私の関係にも…。
車窓を眺めていると、はらはらと雪が舞い始めた。
道理で寒かった訳だ。
あぁ、冬なんて嫌い、雪なんて大嫌い…。
『会いたかったぜ、シェリー』
あれで、終りだったのだろうか。
何も言えないまま、何も伝えられないまま…。
何も終らせられないまま…。
「仕方ない、じゃあいつもの店に行こうか」
「やった!」
「良いですね、あの店大好きです!
灰原さんも、賛成ですか?」
「…えぇ…」
…そんな訳ないわよね?
まだ続く、まだ、終らない。
★他ジャンルメモ。半妖の夜叉姫14「森を焼いた黒幕」
新OP絵、殺生丸様押しで素晴らしい!寧ろ主役。
14分、殺生丸が双子のいる森を焼き払うのを黙認。
「この森を焼き尽くし、呪われた半妖の姉妹をこの世から消して」
人間の女に拒絶され、自らを焼いて死んだ妖怪。本来なら人と妖は、これ程異常な関係ということ。
「実に滑稽だ。人間などを愛するとロクなことにならない。犬の大将も然り、殺生丸も然り。破滅のみ」
リクは殺生丸、その父(一族)が憎いのか?
次回邪見登場!そして遂にりんが…!