ASDはなぜ会話のときにタイムラグがあるのか? | アスペルガー夫とカサンドラ妻についてとことん語るブログ

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アスペルガー夫、カサンドラ妻について私が思うことをいろいろと記述していきたいと思います。

ASDは、会話の中で常に「正確に答えねばならない」ということを意識しています。

 

「あなたは週に何回カレーライスを食べますか?」

 

という、一見簡単な質問でさえASDには難しい質問です。

 

カレーライスは週に1回のときもあれば、ときには3回食べることもありますし、まったく食べない週もあるでしょう。

これを頭の中でうまくまとめて相手に返すというのはけっこう難しいものです。

 

定型発達の場合、そもそもこの質問に対してあまり意味がないものだとまず考えます。

相手は会話の潤滑剤としてただ聞いているだけであって、適当に答えたとしてもあまり問題がないのです。

 

質問に対してさらっと流せるのが定型発達、深く考え込んでしまうのがASDだといえるでしょう。

 

ASDは質問に対して深く考え込んでしまうという特性があるため、会話のテンポはどうしても悪くなってしまいます。

ASD者が定型発達者の会話のテンポについていくのはとても大変なことであり、定型発達者が考えているよりはるかにASD者は苦労をしているのだといえます。

 

定型発達は、相手が発したあいまいな言葉に対して「その裏にあるもの」を瞬時に読み取り、理解ができるということが言えると思います。

 

人間社会には「社交辞令」というものがあります。

 

しかし、ASDにとって社交辞令はとてもむずかしい概念です。

 

別れ間際に相手から

 

「また会いましょうね」

 

と言われた場合、

 

「また」というのは「いつ」のことだろうか、どのタイミングで会うということなのだろうか、なぜ相手は事細かく言ってくれないのだろうか?・・・

 

などとASD者は深くこんでしまうでしょう。

 

この場合の「また会いましょう」は社交辞令なので、適当に「はい」と答えてもなんの問題もありません。

 

会話においては、この辺のさじ加減が難しく、定型発達であっても時には相手の言っていることが社交辞令なのか本気で言っているかわからないこともあろうかと思います。

 

 

文章や会話の中で「主語がない」を気にするのはASDか、定型発達か?

 

この問いには、

 

ASDも定型発達も気にするが、気にする意味合いが違う

 

ということがいえるかと思います。

 

ASD者が相手の言葉に「主語がない」を気にしてしまうのは、ASD者は正確性にこだわる傾向があるということもありますし、前後の関係から文脈を読み取る力が弱いので、主語がないと非常にわかりづらくなるからです。

逆にASD者が主語を抜かしてしゃべってしまうときというのは、ASD者が陥りやすい「自分がわかる=相手がわかる」があるので、つい相手がわかっていると思い込んで主語を省略してしまうからです。

 

以上の例は、比較的「短期型のタイムラグ」だと言えますが、もっと長いスパンの「長期型のタイムラグ」もあります。

 

たとえば、ASDは、

 

相手の会話を理解して自分の中に落とし込む(咀嚼して飲み込む)までに定型発達の何倍もかかる

 

と言われています。なので、数日前には意見に反対していたのに、突如として意見に賛成してくれるといったことも起こります。

定型発達の人からみると、「なんで急に賛成に回ったのか?」と思うかもしれませんが、ASD者がじっくり時間をかけて話の内容を理解していったのです。

定型発達が瞬時に理解することがASDにとってはかなり厳しいのです。

 

 

ASD者が会話でタイムラグがあるのにはまだ理由があります。

 

あるASD者は、

「疲れているときに、急に相手に話しかけられると相手の声を単なる「音」として認識してしまう」

と言っています。

それで相手から

「ねえ、聞いてる?」

と言われて、そこではじめて「ハッ」として、

さっき聞いたであろう音を自分の頭の中から引っ張り出してきて

音を意味のある言葉に変換して

頭の中で理解する

という作業を行うのだと述べていました。

 

人間の脳は実に高度な作業をしていて、人間が発する音を瞬時に意味のあるものに変換してくれています。しかし、脳に障害が発生すれば、脳が行っている高度な作業ができなく可能性があるわけです。

 

また、ASDの行動は、

 

確定していること

 

に限定されます。

 

イメージとして、ASD者が電車だとした場合、数km先に線路があると確定しているのなら前に進めますが、あるのかどうかわからない・・ということになると、そこで進めなくなってしまうのです。

ASD者が旅行の計画を綿密に立てるのも、確定事項を増やすためだといえます。

確定したことを、そのとおりに実行に移すことでASD者は安心するし、そのとおりに進むことで喜びを感じるのだと思います。