映画『あしたの少女』について | あおいとり

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『あしたの少女』
監督・脚本 チョン・ジュリ
出演 ペ・ドゥナ,キム・シウン

個人的に好きな女優ペ・ドゥナが主演しているとのことでDVDで鑑賞しました。
実際に2017年に韓国全州市で起きた事件をもとに作られた作品です。

ダンス好きな一人の女子高校生ソヒ(キム・シウン)が大手通信会社のコールセンターで実習生として働くようになります。想像を絶する過酷な労働環境に労働力として搾取され,ソヒの心がしだいに疲弊していく過程がリアルに描かれています。

高校生ソヒの視点と,ソヒの足跡をたどるように事件を再現していく刑事ユジン(ペ・ドゥナ)の視点から一つの事件が2部構成で描かれていることで,多角的,重層的に見ることができました。

契約違反する企業はもちろん,就業率によって支援金を出す教育庁,そのために就業率を上げようとやみくもに高校生を企業へ送り込む学校側や教師の問題もしっかりと刑事の視点で描かれています。

ソヒが無心にダンスをする冒頭とラストの生の輝きは圧倒的で,それだけに過酷な環境下でしだいに光を失っていくかのような目が切なかったです。

ちなみに原題は『다음 소희』(Next Sohee)。
作品化することで,ソヒに続く犠牲者を二度と出してはならないという作り手の熱い想いが伝わってきます。

韓国での企業,学校,教育庁のつながりの闇の深さを垣間見て,高校生が社会に都合よく労働力として搾取されている実態に驚くとともに,日本でも外国人労働者などに対象を変えて同様なことが行われていないだろうかと考えさせられます。
この作品は言うまでもなく,韓国映画では実際の事件をもとに多くのよい作品が作られているのでおすすめです。

 

映画『あしたの少女』オフィシャルサイト
(ashitanoshojo.com)