木馬…④
尿検査の為の中身入りの容器をセイラさんに渡すとゆっくりとベッドに寝るよう
に指示される。
その間、我が家族は無言であった…。
アタシもつられて、うめき声をあげるコトもできずにいた…。
異様な雰囲気の病室(幸い、アタシしか居なかった)で、フラウ・ボゥがこれか
らの流れの説明をしに来てくれた。
フラウ・ボゥ 「これから、陣痛の波を計測する機械を取り付けます。
ザクレロさんには、もう少しこのお部屋で待機をして頂きます。
痛みに耐えられなくなったら、呼んでくださいね。
腰をさすったり、いきみを逃す手助けをします」
ちなみに「いきむ」というのは、赤ちゃんを出す為にチカラを入れるコト。
アタシ 「イマ・マサニ・痛イ・デス…」
フラウ・ボゥ 「ちょっと待ってくださいね~」
さっき取り付けた装置(分娩監視装置)を見る。
フラウ・ボゥ 「あともう少しガマンしましょう!
はい、息を吸って~吐いて~…」
アタシ 「ぶひゅーぅ、ぶはぁーぁ…」
目の端には、木馬…
もしかして、ギャグ、か…?
オールレンジ攻撃(意味無し)
ザクレロ(リアルな方)、現在投薬中。
ドグマチールを1日に300mg。
ネットで調べれば分かるけど、このお薬は処方量によって目的が変わる。
アタシは、胃腸も精神も病んでしまった。
それだけ体力・精神力・時間・お金を費やしてきた。
でも、価値の見出せるアタシの経験になるはずと信じて…
「いつまでも、こんな世の中じゃないんだろ?ね、カイ」
いつまでも、辛いままではいたくない…
木馬…③
ちょっとハズカシイ格好になる椅子に座り、検査。
ミライさん 「はーい、チカラ抜いてくださーい」
アタシ 「…」(「ムリーーー」)
ミライさん 「あらー、子宮口6cmまで拡大しているわね~」
アタシ 「……」(「はわー?!なんじゃそりゃ?」)
ミライさん 「じゃ、別のお部屋に移動しましょう。
セイラさん、車椅子用意してくださる?」
セイラさん 「オールラジャー」
アタシ 「………」(「車椅子?」)
アタシはゆっくりと支度を整え、車椅子へ乗り込んだ。
車椅子なんて、何年ぶりだろうか…。
がらがらがら…。
ヒトもまばらな廊下を車椅子に乗ったアタシ、車椅子を押してくれてるビグザム
、少し遅れてエルメス、更にオイテケボリをくらったジオングが続いてくる。
エレベーターをつかい、2階の陣痛室へ入る。
部屋を見渡すとベッド2台、木馬のような乗り物(いきみ逃しの為の器具らしい
)、トイレの個室が設置されていた。
アタシは、パジャマを着せてもらい、トイレに行くように指示をされた。紙コップ付で。
「父さん!人間よりモビルスーツの方が大切なんですか!」
(産まれてくるのはMSかMAかまだわからんちん!!)
ここまで来ると羞恥心というのはなく、
ただお腹の中のコドモを無事に産めるのか…というコトに集中していた。