木馬…⑧
「悔しいけど、僕は、男なんだな…」
産まれてきたコドモは男の子だった。
アタシがこんな状況でも、家族は大喜びだった。
ビグザム 「全然名前とか考えていなかったね~」
エルメス 「そうねぇ…。女の子だと思っていたし…」
ジオング 「…っ!おぉ…」
出産を終えるとすぐに分娩室に家族は入室できた。
写真を撮ったり、雑談をしたり…。
アタシへの処置が終わるとすぐに病室に案内された。
6人部屋。
アタシのベッドは窓辺で、ソラには雲ひとつなかった。
さすがに病室で話込むのは迷惑なので、面会室へ。
Jr(仮)はベビーベッドの台車でスヤスヤと眠っていた。
アタシ 「あー…。カムランに連絡しなきゃだわ~」
ビグザム 「アタシがやろうか?」
アタシ 「んー。自分でやるワ。これからのスケジュール確認もあるし…」
エルメス 「こんなメデタイ時にする話じゃないわよ~」
ジオング 「名前…名前…っ」
木馬…⑦
アタシは無事に出産した。
本当、無事に。
コドモは産まれるとすぐにカラダを拭かれた。
そしてそのまま身体測定。
一方アタシは、後産(胎盤などを出す)を終えると
そのまま着替えを済ませ、手元に産まれたての我が子がやってくる。
セイラさん達は、胎盤などの重さを計測し、出血量などを確認。
ミライさんは、キレタ箇所を修理してくれていた。
※察してやってクダサイ…
フラウ・ボゥ 「ちゃんと赤ちゃんに寄り添って、おっぱいをあげてくださいね~」
アタシ 「は、はぁ…」
フラウ・ボゥ 「一番最初にこうやって、母乳をあげることでお互いにキズナを確かめるんですよ」
アタシ 「そ、そうなんですね…」
至れり尽くせり…というこの状況と、
ムネのこの小さい命の頼りなさに戸惑いが隠せない。
壊れそう、だ。
木馬…⑥
今までが防御だとしたら、これからは攻撃だ。 息を吸っては吐いてを繰り返し、セイラさんたちの指示に従う。 アタシは母親学級に通うヒマがなかった…。 ぶっつけ本番だ。 アタシ 「…っ!!!」 セイラさん 「息をちゃんとして下さい!」 フラウ・ボゥ「赤ちゃんに空気を送ってあげないと、苦しんじゃいますよー!」 セイラさん 「はい、フゥ・フゥ・ハァ!」 アタシ 「ぶふー、ぶはー、ぶびー」 この状況が延々と続き…40分も過ぎた頃。 セイラさん 「カイシデン聞こえて?3秒で発進!よろし?」 アタシ 「?!」(カイ・シデンーーー?!) 不思議と、痛みはなかった…。 Jr 「…ほんぎゃぁ~…!!」
木馬…⑤
痛みの波に揉まれるコト、1時間あまり。
まだか、まだかと焦れるアタシ。
それをナマアタタカク(まさに他MAゴト)と見守る家族。
痛い…
けどヒトを呼ぶほどじゃないかも…
でも、痛い…。
フラウ・ボゥを呼ぶか呼ばないかを悩んでいるうちに
そのトキは来た。
徐々に痛みとともに
「うーまーれーるー」
という波動(?)がやってきたのだ。
それは、腕に取り付けられた機器からフラウ・ボゥたちにも分かったようだった。
フラウ・ボゥ 「ザクレロさん、産みたいですか??」
アタシ 「…こくり…」(どんな質問じゃーーー)
「ま、間違いない…ヤツだ…ヤツが来たんだ!」
そう、アタシは産気づいてるぅ!!!