結婚式をしにフランスに来た時のことである。
それ以前、私は義家族に会ったことはなかった。
フランスには料理や化粧、ブーケ、衣装などの打合せや準備があったから、
結婚式の約1週間前に到着した。
義家に泊まらせてもらっていたので、
初日はお客様でも数日経ったら何かお手伝いをした方が良いかと思い、
シンクに置き去りになっていた鍋を洗おうと思った。
義家のシンクはダブルシンクで、左側に水が溜めてあり、
そこには食洗器不可そうな物が入っていた。
どうやら食器洗剤が入っているようだった。
私の祖母もそうした洗い方をしていたので、想像はできた。
私の祖母は右側では念入りにその薄まった洗剤を洗い落す場所としていた。
しかし、義家ではその右側は洗ってもいない、
付けおきもされてない鍋やオーブン皿が重ねて放置されていた。
どっちのシンクで濯げば良いのだろう?
私は、洗剤が入っているシンクで洗い、積み重ねられた鍋が邪魔で、
かなりやり難かったが、隣で水道水を出して濯いでいた。
それを見た義父に突然怒鳴られたのである、
「そんなにお湯を使ったら、シャワー浴びれなくなるぞ!」
私はジャージャー水を出していたわけではない。
洗剤を濯ぐには適量だったと思っているだが、、
それまで蛇口をひねれば、終わりなくお湯が出てくる国にしか住んだことがなかったから、
知らなかった。
先進国に位置付けされようもの、お湯の量に限度がある国を!
フランスのお湯事情を知らなかったにせよ、当時は申し訳ないと思ったが、
後々振り返り、自分の親を思うと、
絶対突然大声を張り上げ怒り出すなど想像できない
しかもおめでたい事情で来ている人間に、
鍋を洗ってくれている人間に、
しかも一緒に暮らすわけない人間なのだから、
目を瞑るか、洗い始めた時に説明しといたら良いのである。
この怒鳴られたことはトラウマだが、後々何年も経っても
一体いつお風呂に入っているのかわからない人間が言ったセリフと
言うのも興味深いものである
ドイツに何年か住んだことのある姉に聞いたら、
知り合いのドイツ人はその薄まった洗剤の水をきったか、
軽く水をかけたらくらいで、
そんなに濯ぐことはしなかったそうで、
フランスもそうなんじゃないかと
薄まった食器洗剤コーティングした鍋で料理してんの?
水の節約だか食器洗剤を口に入れても問題ないという考えなんだか知らないが、
それで病気にでもなったら、私は嫌である