もう、冬なのですねぇ…
今回は【銀座とご縁と五円玉】の最後に少しご紹介した、しつけ糸のお話でございます。
今回は、銀座ならではの…というよりは、花柳界の昔からの文化です。
まず、しつけ糸とは?
着物を誂えた時に付いている、型くずれ防止の細い糸のことです。
こんなの。
スーツとかスカート、コートの後裾の切り込み部分とかにもついてますよね?
あれです。
基本的には、着用する前にしつけ糸は外してから、着用します。
着物でもしつけ糸を外し忘れていると、普通は恥ずかしいです。
けれど、花柳界では新しく着物を買って下さった旦那さんに、しつけ糸を外して貰う文化があります。
着物を誂えて下さった旦那さんに感謝の気持ちを示すべく、しつけ糸のついたまま(貴方が初めてですよという意味だったと思います)お迎えし、しつけ糸を取って頂く。
そして、そのしつけ糸に五円玉を結び、ご縁がありますようにと、襟足にそっと入れるのです。
「この着物を着れるのは、旦那さんのおかげです。ありがとうございます。この着物を一番に見ているのは旦那さんなのですよ。これからもどうぞ、よろしくお願いします。」
といった感じでしょうかね^ ^
一番、というのは特別感があって良いですよね。
そして、ここからは銀座です。
しつけ糸を外して頂く内容は殆ど同じです。
人によって五円玉を結ぶ過程まできちんとする女性もいます。
けれど、何が花柳界と違うっかって、しつけ糸を外したお客様は
新しい着物を
買ってあげなければ
なりません
ああ、怖い怖い

何も知らずに外さされたお客様は大変ですね。
ただ、ザギンちゃん的にはこの文化、嫌いじゃないけれど…
何と申し上げて良いか、上手い言葉が見つからないので、お気を悪くなさらないでね^^;
たまに、黒とか濃い色の着物に白のしつけ糸で「私、今、新品の着物着てるのよ!すごいでしょ
新品の着物が着れるお高い女なのよ!」みたいに主張が強い場合があるので…

作家物や刺繍、絞りなどのゴージャスなものだと、100万は下らないのが着物の世界ですから、分からなくも無いのですけどね。
というより、「今日、しつけ糸を取ってくれるお客様が来ます!」と大々的に主張しているようで、ね。
他にもお客様いらっしゃるのでは?と余計な心配をしてしまいます。
これはちょっと、みっともない…というか何と言うか…
白とか薄い色とかなら、まだ目立たないので良いのですけれどねぇ^^;
せめて目立つ衿の部分だけでも取りません?となります。
見栄もあるのですかねぇ…
ま、銀座から見栄を取ったら大変なことになりますけどね

これ、ザギンちゃんが勝手に思ってることですからね。
悪しからず

ちなみに、周りのホステスさんで同じ意見の方もいらしたので、その方から教えて貰った方法をご紹介致します。
左袖のみ残して、あとは全部取るそうです。
どこの地域かは忘れましたが、花柳界で左袖のしつけ糸は旦那さんに取って頂くという習わしがある所もあるそうで。
これならあまり目立たず、他のお客様に「あいつは良い男がいるのか…俺なんて…」なんて思われないですね

しかも、新しい着物を買って頂けるという、何とも有り難い習わしでございます。
でも、新しい着物って気分も上がりますし、しつけ糸そのままにしておきたい気持ちも分かるのですけどね

良い着物であれば、あるだけ、余計に。
でもザギンちゃんは、それをグッと堪えて、涼しい顔で着こなしている女性により魅力を感じるのです。
なんか、カッコイイ…

ああ、着物着たくなってきたなぁ…
どこかで着るタイミングを作らなくては
