前回からの続きです──
ぽつんとたたずむその姿は素朴なくせに、なぜだかそこだけ輝いて見えました。
記憶を探っても郷愁なんてないはずなのに、甘酸っぱい思いで胸が満たされます。
記憶を探っても郷愁なんてないはずなのに、甘酸っぱい思いで胸が満たされます。
少女の名前は“早乙女”
たぶん間違った認識だけれども、誰が何と言っても“早乙女”
たぶん間違った認識だけれども、誰が何と言っても“早乙女”
クラフト紙100%の、純朴極まる乙女です。
まずは全身

そして上から

紅葉のような手も

作りの良い靴も

最後に横から

舐め回すような失礼な撮り方だったにもかかわらず、早乙女ちゃんは嫌な顔ひとつせず応じてくれました。
世俗の垢にまみれたイザナギは、疑うことを知らない彼女から、何か大事なことを教えてもらったような気がします。
世俗の垢にまみれたイザナギは、疑うことを知らない彼女から、何か大事なことを教えてもらったような気がします。
ちなみに、早乙女ちゃんの村はみやげ物屋の店内にありました。



けれど、どれが早乙女ちゃんの家なのかわかりませんでした。
それでも、純朴な心に触れられたことに満足して、イザナギはクラフト紙の里を後にしました。
車を走らせ、虫の息といった感じの街に到着です。
車を走らせ、虫の息といった感じの街に到着です。
「吉田うどん、ひとつ」
のれんをくぐると同時に、滑舌よく発音したつもりだったのですが、お店のおばあさんの反応はいまひとつ。
【沈黙のうどん屋】といっても差し支えない状態が約5秒。
【沈黙のうどん屋】といっても差し支えない状態が約5秒。
「え~と……」
老婆が口を開きかけた瞬間、イザナギは気づきました。
壁に掛かるメニューに、名物・吉田うどんの文字はなし。
壁に掛かるメニューに、名物・吉田うどんの文字はなし。
「全部が吉田うどんですか?」
「そうなんですよ」
どうやら“山田うどん”と大差ないネーミングだったようです。
結局、脳内イメージに近そうな肉うどんを頼みました。

どこかですり込まれた知識どおり、キャベツ入りでした。
「ごちそうさま~」
不揃いのぶっとい麺でアゴのエクササイズを終えたイザナギは、虫の息ぶりを存分に撮り収めるべく、再び人気の少ない街をトボトボと歩き始めました──
つづく……