魔王89 | 青のパラレルワールド物語

青のパラレルワールド物語

青さんが登場する空想小説を書きます。ご本人様とは一切関係ありません。
腐話もありますので苦手な方はご注意ください。

 

 

 

 

 

 

カズ

 

 

 

「誰だ!」

 

そこにはサラリーマン姿の

櫻井翔が立っていた。

こいつ仕事に復帰したのか・・

 

「なんだよ、櫻井翔か・・・」

「カズ、お前・・何がバレたんだよ。」

 

真剣な、そして真面目な顔。

俺が捕まったこと、

どこから聞いたんだ?

サトじゃないよな・・

 

「おまえ、サトとは話したのか?」

 

どうして、サトと話すんだよ・・・

 

あっ・・・そうか、

そうだったんだ・・

サトは仕事に行っているんだな。

 

「櫻井翔、お前もたまには役に立つな」

「何、言っているんだよ、カズ。

冗談言ってる場合かよ・・

お前大変なことになってるんだぜ。」

 

大変なこと?

捕まったってことか?

俺にとっては、サトのことが一番だ。

サトが普通に仕事に行っているならば、

とりあえずはまだ間に合う。

だが、櫻井翔の言いたいことは違うようだ。

 

「カズ、お前なんでそんなに金が欲しいんだよ。

ストームがうちの会社の広告塔に起用されて

仕事も増えたし、ギャラも上がったはず。

以前よりも稼げてるだろう。」

 

櫻井翔が全然分からないとでも言うように

首をかしげる。

 

ふん、俺には14年前に

この事務所に入った時から

死んでもやると決めた目的があるんだよ。

金持ちのボンボンのお前には、

絶対にわからないだろう

俺が味わった苦しみと辛さなんてな。

 

「それのどこが悪いんだ。」

 

不貞腐れた俺に、

櫻井翔はつかみかかってきた。

 

「捕まったら、終わりだろう!

あのモデルの女のことか?

それとも、

あのデカいアメ車に乗っていた奴の件に

絡んでいたのか?」

「な、なんだよ、いきなり」

 

こいつ何を言ってるんだ。

マリエの件も、

プロデューサーの件も

こいつは知らないはず。

俺に鎌掛けてんのか?

 

「カズ、井ノ原さんに

連絡をとっているのか?

仕事は休んでいるんだろう?」

 

「う、うるさいな・・」

 

勾留されてたんだから、

行けるかよ。

でも、なんで、

こいつ俺が休んでいると・・

それに捕まったことまで・・

あっ・・・

 

「櫻井翔、

お前マネージャーに会ったんだな。」

 

しゃべったとしたら、

井ノ原さんしか考えられない。

 

「カズ・・・

ストームは解散する。

今日俺は、ストームの後任について、

井ノ原さんと打ち合わせをしてきた。」

「な、なんだって・・」

 

知らない・・

俺は何も聞いていない。

 

「カズ、お前は解雇だそうだ。」

「解雇・・・・」

 

櫻井翔の言葉が

遥か遠い場所から聞こえてくる。

 

かいこ・・くび・・

くび・・

俺が・・

 

「カズ、お前は何をして捕まったんだよ。

教えてくれ。

俺にできることがあれば、

なんでもするから。」

 

櫻井翔が、

捲し立てる声がうるさい。

 

お前にできることは何もないわ・・

サトにしかできない・・んだよ。

サトにしか・・・