魔王74 | 青のパラレルワールド物語

青のパラレルワールド物語

青さんが登場する空想小説を書きます。ご本人様とは一切関係ありません。
腐話もありますので苦手な方はご注意ください。

 

 

カズ

 

 

 

 

 

 

 

 

俺が声をかけると

櫻井翔は驚いたように俺を見た。

そりゃそうだよな、

いきなり俺が現れたんだから。

 

仕事に行かなかったのかと

遠回しに皮肉ると、

おまえはどうしてたんだよと、

予想外の返事が返ってきた。

 

俺が留置所にいたことが

ばれているのかと、

一瞬焦ったがそうではないようで、

ほっとする。

 

俺はただ、

あの日

芹沢邸にサトと一緒に入ったおまえが

その後どうしたのか知りたいだけ

サトがどこにいったのかも・・

 

だが、櫻井翔はしつこいくらい

成瀬と連絡が取れない、

心配だから家を教えろと

繰りかえした。

やはりあの日、

2階でも、何かあったんだ。

 

刑事が言った怪我人とは誰なんだよ。

サトなのか?

しかし、一緒にいたはずの

櫻井翔がしらないサトの行方・・・

まさか、櫻井翔が嘘をついている?

 

それも考えられる・・

何か隠しているのかもしれない・・

そう、大事なことを。

 

でも、サトに関しては

本当に探しているようだ・・・

 

俺は、あの日サトが

目的を果たせたのかどうか、

それを確認したいんだ。

そうしないと、

報酬が手に入らない。

 

芹沢の隠し口座から

奪った金だけでは

まだ足りないんだ

 

帰り道、俺は何度もサトに

ラインを送ってみた。

だが、既読すらつかなかった。

 

 

 

 

 

翌々日は、朝からムカつくくらいの晴天だった。

 

俺は、弁護士から言われたとおり

午後2時に芹沢邸に来た。

あの日はこっそり入ったが、

今日は堂々とインターフォンを押す。

 

「どちら様でしょうか?」

「約束した二宮です。」

 

年配の女性の声に

不機嫌に答える俺。

 

カチャとロックが解除され、

門が開いた。

 

 

玄関を開けると、

さっきの声の主らしい

60過ぎの女性が立っていて、

俺を案内する。

 

「どうぞ、こちらへ。

すぐにお茶をご用意しますので。」

 

入った部屋は

馬鹿デカい応接室だった。

部屋のデカさにあった

大きなソファにふんぞり返るように座ると、

本当にすぐ珈琲が運ばれてきた。

 

「芹沢様は今電話中ですので、

少々お待ちください」

 

何だよ、待たせるのかよ。

人を呼びつけておいて・・

俺は、文句を言ってから

出されたケーキにナイフを入れて気が付いた。

 

これは、あの店のケーキだ。

サトが櫻井翔に貰って喜んでいたやつ・・・

 

ガチャ

 

ドアが開いて部屋に入ってきた人間を見て

俺は驚きのあまり息が止まった。