魔王72 | 青のパラレルワールド物語

青のパラレルワールド物語

青さんが登場する空想小説を書きます。ご本人様とは一切関係ありません。
腐話もありますので苦手な方はご注意ください。

 

 

 

 

カズ

 

 

 

 

 

 

伝えることだけ言い放つと

弁護士の男は

自分だけ、車に乗って帰っていった。

おい!俺を送ってくれないのかよ。

クッソ、報酬値切ってやる。

おまえなんか、

電信柱にでも激突して死んじまえ・・

 

俺は、弁護士に

呪詛の言葉を吐きながら、

家に向かって歩き出した。

 

 

井ノ原さんからは

ラインが1本入っていただけ。

他は誰からも何もない。

 

~カズ、弁護士費用は

会社が立て替えたから、

給料から引かれる。

それから、

まだ、解決したわけじゃないんだから、

連絡があるまで

謹慎していろ。~

 

なんだよ、これ。

俺の知りたいことは

何も書いてないし・・

 

しかし、何度電話しても

井ノ原さんは電話に出ない。

ラインも送ったが、

返信どころか、既読もつかない。

 

何故だ?

 

サトもだ・・・

あの日芹沢邸にいたはずのサト。

どうして連絡がない?

いや、面会すら来なかった・・・

とにかくうちに帰って

サトに状況を聞かないと。

しかし、俺の願いは

叶わなかった。

 

「サト、どうして連絡

くれないんだよ。」

 

文句を言いながら入った家に、

サトの姿はなかった。

 

誰もいない部屋を見渡して

俺は初めて

これはただ事じゃないと感じた。

部屋はあの日サトを送り出してから

俺が出て行ったときのままだった。

サトはここに、

一度も戻っていない。

おかしい・・・・

絶対におかしい・・・

 

 

ふっと俺は

一人の人間が浮かんだ。

櫻井翔・・

あの日サトと一緒に

芹沢と会ったはずだ。

 

俺はすぐに櫻井翔に

電話をかけた。

が、こいつの電話も

呼び出し音だけで、出ない。

 

クッソ、この野郎と思ったが、

よくよく考えれば

こいつはサラリーマン。

まだ、勤務時間内。

仕方ない、こいつの家で待ち伏せしよう。

俺は、シーンと静まり返る部屋を後にした。

 

 

 

櫻井翔のマンションの前に着いたのは

夕方の6時前だった。

ほっ・・あいつよりも先についたな。・・・

よかった、

 

ここで櫻井翔を待ち伏せするか・・

座り込んでいたら、

この辺じゃ不審者かもな・・

でも仕方ない、

何か言われたらその時はその時で・・

 

俺が、植え込みの端に腰を下ろした時、

止まった大型の車から

櫻井翔が降りたのが見えた。

 

しかし、その恰好はラフなスエット姿。

仕事にいってたのじゃないのか?

 

俺は櫻井翔の後ろから

その肩を叩いた。