魔王64 | 青のパラレルワールド物語

青のパラレルワールド物語

青さんが登場する空想小説を書きます。ご本人様とは一切関係ありません。
腐話もありますので苦手な方はご注意ください。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

全く疑問が解決しないまま、

飲んだ薬のせいなのか、

点滴のせいなのか、

強力な眠気がおそってきて、

いつの間にか意識を飛ばしていた。

 

 

どのくらい眠ったのだろうか、

俺は俺の名前を呼ぶ声で

起こされた。

 

「櫻井さん・・櫻井さん」

「う・・・・ん?」

「目が覚めましたか?

このお薬眠くなるんですよね。」

「あっ・・はい。」

「櫻井さんにお客さんです。

向こうのお部屋でお待ちですよ。

起き上ると痛いでしょうから、

車いすに乗っていきましょう。」

 

俺を呼んでいたのは、

さっき薬を持ってきてくれた看護師。

あのさ、

せっかく気持ちよく寝ていたのに、

この病院は患者を起すのかよ。

おまけに痛いのに、どこに行くって?

 

俺はかなり不機嫌な顔をしていたのだろう

看護師がそっと俺の耳もとで囁いた。

 

「警察の方です。

そのお腹の怪我の件じゃないですか?」

 

おい、おい、こいつ

何を面白がってるんだよ。

目が興味深々って言ってるぜ。

 

「はい。

ここです。

帰りは自分で帰れますよね。」

 

看護師は

カンファレンスルームと

書かれた部屋のドアを

ノックした。

 

 

 

 

「手術後で、

大変な時に申し訳ありません。

少しお話きかせてください。」

 

刑事課の鈴木と名乗った中年の男は

人の好さそうな顔で俺を部屋の奥に招く。

すると、鈴木刑事のよこに立っていた

生意気そうな男が口を開いた。

 

「あんた、名前は櫻井翔。

住所は渋谷区神宮前8丁目1126番地

喜多川物産企画部勤務。

年齢は30歳

間違いないな。」

 

なんだこいつはと、

思わず切れそうになったくらい横柄な態度。

 

俺は不機嫌さを全面に出して横を向いた。

 

「それがなにか?」

「まあまぁ、櫻井さん。

すみませんね、こいつまだ新人で。

小川、お前な、犯人じゃないんだぞ。

市民の方に失礼な口を聞くな。」

「は、はい・・

櫻井さん、合ってますね。」

「ええ。」

 

小川と言われた新人が、

不服そうに言い直す。

俺も渋々返事をした。

 

「怪我の具合はいかがですかね?」

 

これ以上話をさせると

俺が本当に切れてしまうかと思ったのか、

今度は鈴木刑事が話だす。

 

「まだ痛いですよ。

だって手術してから半日ですからね。」

「たしかに・・。本当に申し訳ないですね。

でも、どうしても早くお話を

聞かせてもらいたいのですよ。

何しろ人が亡くなっているので・・」

「えっ?」

 

口調は丁寧だけど、

有無を言わせない強さで

刑事が言った言葉に俺は絶句していた。