魔王63 | 青のパラレルワールド物語

青のパラレルワールド物語

青さんが登場する空想小説を書きます。ご本人様とは一切関係ありません。
腐話もありますので苦手な方はご注意ください。

 

一つ前に上げたのは62の間違いでしたすみません。訂正しました。

 

 

 

カズ

 

 

 

 

「不法侵入の現行犯で、

逮捕する。

どうしてここにいるのか、

何をしていたのかは、

署の方で話を聞かせて貰う。」

 

制服の警察官が、

俺にそう告げると

俺の両手に手錠がかけられた。

 

「ど、どうして?」

 

何故バレたのか?

考えてもわからない。

計画は完璧だったはず。

 

「通報があったんだよ、

この家の住民から。

物音がするってね。

空き巣はみな自分だけは見つからないと

思っているからな。」

 

コソ泥風情が何を言っているみたいな、

人を小ばかにした態度・・・

くっそ、櫻井翔だな。

物音立てやがって・・・

俺は、腹の中であいつを罵りながら、

殊勝な顔で下を向いた。

 

「主任、上で大変なことが・・」

 

腰に回したひもを引っ張られながら

部屋を出ようとしたとき

血相変えて

別の制服警官が飛び込んできた。

 

「どうした?」

「上の部屋でけが人が。」

「すぐに本庁に応援頼め。

救急車もだ。」

「はい。」

 

何が起きたんだ?

サト?

櫻井翔が切れて、芹沢を刺したか?

それならばそれで楽しいかもな。

おっと、やばいものを処理しないと・・

 

「早く歩け。」

 

立ち止どまった俺を

主任と呼ばれた警官が追い立てる。

 

「ト、トイレに行かせてくれ。

急に・腹が・

俺は緊張すると腹が下るんだ・・

は、早く、も、もれる」

「まて、我慢しろ・・」

 

慌てた警官が俺を引きずるようにして、

廊下を走った。

俺はトイレに駆け込むと、

舌を出して笑った。

 

 

 

 

 

 

「カズ、どうしてこんなことを・・

やっと人気が出てきて、

頑張ってきた成果が

見えてきたっていうのに。

そんなに金が必要だったのか?

お前の親父さんの借金まだあったのか?

こんなことをする前に

俺に相談してくれよ。

少しくらいは力になれたのに。

俺はそんなに頼りなかったか?」

 

留置所の面会室

井ノ原さんが

泣きそうな顔で声を振り絞っている。

井ノ原さん、

俺のことを心配してくれるのはあんただけだよ。

ストームのメンバーだっていつも無関心だった。

事務所の社長も、

井ノ原さんの代理のマネージャーも

あいつら3人には気を使っていたけど、

俺には・・・

俺がくそ可愛くないからだろうけど。

 

サトだって、人が良くてさ、

文句を言わないのをいいことに

あいつらの尻ぬぐいばかりさせられて。

だから、結局あんなことになったんだ。

困っても相談できないって

サトに思わせたあんたらのせいだからな。

 

ふん、俺はへましちまったけど、

これでストームもおしまいだな。

メンバーが逮捕されちゃな。

いい気味だぜ。

 

「井ノ原さん、

俺には目的があったんだ。

そのために金が欲しかった。

でも、それはもう済んだ。

だから俺は・・・いいんだ。

そのかわりサトを頼むよ。

いつも貧乏くじばかり、

引かされてたんだからさ。」

 

俺は、井ノ原さんに頭を下げた。

 

「カズ・・」

 

井ノ原さんが驚いたように

目を見開いた。

予想外だったのだろうか・・・

 

サトが2階にいたことは知っている。

怪我人がでたことも・・

でも、それは聞けない。

サトがいることを

俺が知っていたらおかしいからな。

櫻井翔がいたことも。

だからサトの名前を出せば、

井ノ原さんの口から

何か聞けるかと思ったんだ。

 

だが、井ノ原さんは何も言わなかった。

黙って大きく頷くだけだった。