魔王43 | 青のパラレルワールド物語

青のパラレルワールド物語

青さんが登場する空想小説を書きます。ご本人様とは一切関係ありません。
腐話もありますので苦手な方はご注意ください。

 

 

 

 

 

何で今日はこんなにも

時間が進むのが遅いんだ。

まだ、15時か・・

俺はオフィスの壁に掛かった時計を見上げて、

ため息をつく。

今日は成瀬さんと約束した日。

朝からどのスーツを着ようか、

ネクタイは何色がいいだろうかと悩み

鏡に向かって髪形を何度も直した。

まるで、初めてデートに行く中学生のよう。

 

 

最初の出会いは悪夢のようだった。

あの日上司に誘われなければ、

あんな目にあわなかったのに。

ごちそうして貰ったくせに、

勝手な言い草だが。

まさか俺が男を抱くとは

おもいもよらなかった。

おまけに動画を撮られて脅されるなんて。

カズのあの顔は絶対に忘れないと思った。

2度目は完全に俺が油断していた。

美人に欲を抱いた俺が悪かったんだ。

あの狡猾なカズの連れている女が

普通の人であるはずはないと

ちょっと考えればわかったのに。

 

しかし、俺は堕ちてしまった。

あの男のあの時の目に・・

あの目に見つめられて

堕ちないやつなんていない。

 

勿論あの男のテクニックは抜群で、

それに魅了されるやつもいるだろう。

カズの捨て台詞にあった

別の男はそうなのだろうと、

推察できる。

だけど、俺はそれだけじゃない、

あの目に俺を映して欲しいんだ。

俺だけを・・・

 

カズが知ったら

何綺麗ごといってんのさと、

一笑に付されるのはわかっている。

でも・・。

 

 

 

定時ぴったりに、

所用があるのでと、

聞かれてもいないのに

言い訳を言って、

俺は会社を出た。

 

そうだ、

何か手土産を買ったほうがいいのではないか?

悩んだ末に、

デパ地下で名の売れた店の菓子を買った。

彼が、成瀬さんが

甘いものを食べる姿など

想像できなかったが。

 

 

 

 

19時ジャスト。

カズの部屋の前で

俺は大きく深呼吸をした。

落ち着け、落ちつくんだよ、翔。

とにかく、

俺の気持ちを知ってもらうんだ。

 

ピンポン。

震える指チャイムを押した。

 

ガチャ・・

 

ドアが開いた。

そこにいたのはカズだった。