誕生日の夜2 | 青のパラレルワールド物語

青のパラレルワールド物語

青さんが登場する空想小説を書きます。ご本人様とは一切関係ありません。
腐話もありますので苦手な方はご注意ください。

さっき1の間違いに気がつき直しました。

(本筋には関係ない箇所ですので・・)

 

 

 

 

 

何本もの路線が乗り入れる

大きなターミナル駅の南口

週末の夜、

帰宅する人と

遊びに行く人が入り混じり

いつもよりも混んでいる。

おまけにクリスマスの

イルミネーションも始まっている。

そりゃあ、みんな浮かれるよ。

 

俺も浮かれてる。

岡田の誘いを

意地でもかわさなくてはならないほどの予定。

それは、

今夜ひつじの最新映画の

先行上映会があるからだ。

あの日本を代表する女優と共演した映画が

やっと公開されるんだ。

そして、その舞台挨拶付きの上映会のチケット

もちろんプラチナチケットだよ。

それをマダムが俺にくれたんだ。

 

「大野君、少し早いけど

これは私からの誕生日プレゼントよ」

「あ、ありがとうございます。」

 

1週間前の昼休み、

前回俺がご馳走したそば屋に呼び出された俺は、

食事を終えた後、マダムから貰ったんだ。

 

「これ、これって・・ほんとにいいんですか?

だって俺、ファンクラブ会員の抽選に外れて・・

もう見られないって思ってたから・・」

 

マダムから受け取った白い封筒を開けた俺は、

それを見た瞬間息を飲んだ。

 

「ふふふ・・よかった。

色々考えたのよ、私。

でもね、きっとこれが

一番喜んでくれると思ったの。」

「嬉しいです。

恵里香さん。ありがとうございます」

 

マダムが

いたずらっ子のように笑ったのが、

涙を必死に耐えた目の端に

霞んで見えた。

 

会いたくて、ずっと会いたくて・・

電話の声だけじゃ寂しくて・・

わかってる。

忙しいんだって。

 

だから、この先行上映会に行きたかった。

 

11月26日俺の誕生日。

その前日にある上映会は、

出演者の舞台挨拶付き。

勿論ひつじはやってくる。

俺に話しかけてくれるんじゃなくてもいい。

舞台の上でカッコよくきめてくれる

ひつじの姿を見て、

その声を聞くだけでいいんだ。

そしたら、その姿を目に焼き付けて

俺の誕生日が来るその時間まで

一人でお酒を飲むって決めたんだ。

だから落選した時は落ち込んだ。

仕方無いから岡田を誘うかって

本気で思ったくらいだから・・

 

「会えるんだ・・ひつじに・・

ずっと見たかった

映画も見ることができる・・

う・・・」

「大野君、ごめんね。

彼がこんなに忙しくなければ・・」

 

感極まった俺を

マダムが優しく慰めてくれる。

マダムのせいじゃないのに・・・

 

「当日は私たちも会場に行くのよ。

だから始まる前にお茶でも飲みましょう。」

「は・・い。」

 

マダムが差し出してくれた

いい香りのするハンカチで涙を拭った俺は

こくんと頷いた。