リフレイン 白い雨 111 | 青のパラレルワールド物語

青のパラレルワールド物語

青さんが登場する空想小説を書きます。ご本人様とは一切関係ありません。
腐話もありますので苦手な方はご注意ください。

110がないですが、あとから上げます。

特にこちらが先で問題ありません。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

部屋に戻ると

すでに先生は珈琲を淹れる用意を整えていた。

 

「遅い、先に飲もうと思ったぞ、國比呂。

朝から長湯はよくないぞ。

 

あれ?智だけか?

あいつは?ヘタレ男は?」

 

カップを並べながら先生が聞いてくる。

 

「あっ、翔はいないので3つで大丈夫。」

「なんだ、いないんだ?

あつ、そうか仕事だっていってたな。

もう出たのか。

飲んでからいけばいいのに。」

 

口ではひどいいいようだけど、

先生は翔のこともちゃんと考えてくれてる。

だから、僕は夕べ何もしないで帰って行った翔ことは

言いたくなかった。

 

「かわいそうに翔、先生の珈琲美味しいのに。

あっ、紅茶も絶品だけど。」

「ふふふ、そうだろう。

また家に来た時に

イギリスから取り寄せた茶葉で入れてやる。」

 

ニコッと笑う先生はいたずらっ子のようで可愛い。

 

病院の待合室で会った時の先生は

本当におじいさんって感じだったけど、

今思うと、あれは変装だったんだ。

院長が患者のふりして

院内の巡視をしていたってことか。

ちょっと、意地が悪いけどね。

 

そして今の先生は

國比呂さんと一緒にいることで

また若くなった気がする。

恋しているって元気になるんだね。

國比呂さんの体調もよさそうだし、

 

人間は大好きな人と一緒にいると

頑張ろうって思うのかもしれない。

 

「アツ・・

ふ~ふ~。

美味しい。すごく香りがいい。」

 

猫舌の僕でも早く飲みたくなるくらい

いい香りで、渋みがない。

 

翔にも飲ませたい。

翔と一緒にも温泉に入りたかった。

思うのは翔のことばかり。

 

 

僕は僕の目の前で

仲良く珈琲を飲む二人を見て

幸せな気持ちになった。

それは二人が幸せだからだよね。

 

長い時間を無駄にしたのに。

もう先がない國比呂さんなのに。

 

僕は翔に迷惑を掛けたくないと話をしなかった。

でもそれは違うとやっと気が付いた。

自分が臆病だからだ。

 

自分の人生は自分で決めなくてはならない。

治療をどうするのか?

芝居は?

この先の人生をどうしたいのか。

 

そして、事実を知った時に

翔がどんな選択をしても

僕は受け入れる。

だって自分がきめたんだもの。

 

 

 

 

「五郎、これはどこの豆だ?」

「エクアドル産だ。

國比呂はこのくらいの浅入りが好きだろう?」

「うん、うまい。

本当に五郎は器用だな。

俺にはできない。」

「何をいまさら、昔から僕は國比呂に

させてないだろう、家事全般。」

「うん、そりゃ、まぁ。」

「外科医が不器用でどうする?

切開したら曲がっていたとかか?」

「ありえないな。うん。

そんな医者は嫌だ。」

 

二人の楽しい会話が僕を和ませていく。

僕は、やはり翔が大好きだって再確認する。

 

この二人みたいになりたいんだ。

穏やかな毎日を送りたい。

僕の隣には翔がいる・・・・・という日常を。