circle 5 | 青のパラレルワールド物語

青のパラレルワールド物語

青さんが登場する空想小説を書きます。ご本人様とは一切関係ありません。
腐話もありますので苦手な方はご注意ください。

 

本当はこれで終わる予定でした。

イラストも描いてもらってあったのですが、

ちょっと寄り道したらすごく長くなってしまって・・

 

 

すみません

2回にわけました。

なので、これにはイラストないです。

 

 

 

 

 

 

 

 

行く当てなんかない。

 

下を向いてトボトボと、歩くだけ。

陽が落ちた12月も終わり。

寒さが応える。

 

「あ、ここ・・」

 

いつの間にかたどり着いていたのは、

あの日、翔君と初めてあった場所。

 

僕の買い物袋を持ってくれた場所。

今は、夕やみに沈んで、

街灯のLEDライトが冷たい光を落とすだけ。

もちろん、人影なんかない・・

 

 

あの日からずっと友達だった。

それで、満足していれば、よかったんだ。

 

僕は、止めていた足を引きずるようにして、

また歩きだした。

 

この先には僕の家がある。

ほとんど帰っていないのに、さらに

あの事件の後から行ってないから、

2年近くたってしまった。

 

弟の涼介も、もう中学生だ。

大きくなったかな?

 

 

背後から、どたどたという足音が響いたと同時に

 

「にいやん・・。」

 

ドンと衝撃が走って、

背中から抱きつかれた。

 

「涼介」

「にいやん、来てくれたんだね。

クリスマスだもんね。」

 

それは年の離れた弟の涼介だった。

涼介は、私服で、大きなリュックを背負っていた。

冬休みか・・。

 

その涼介の嬉しそうな声に、

あ、プレゼントって気がついた。

 

涼介のプレゼントは毎年用意していた。

置いてきちゃった、涼介ごめん。

 

今年は翔君のも、潤君のも、用意してあった。

 

 

ふっ、馬鹿だな。

翔君や、潤君にプレゼント、渡してなかった。

二人には感謝してもしきれないくらい

お世話になったくせに。

ケーキも食べたのにね、イブに。

本当にどうしようもないな。

 

「にいやん、入って。

今日は泊まっていくんでしょ。」

 

涼介の視線が鞄を捉えると、

僕を見て嬉しそうに笑った。

 

 

 

母親と何か小声で話した後、涼介は

嬉しそうに家を出て行った。

 

「智さん、久しぶりね。

クリスマスには絶対に来てくれるって、

涼介が言っていたの。

本当に来てくれるなんて、ありがとう。

涼介は、智さんが大好きだから

私も嬉しいわ。

 

今夜は泊まれるのね。」

 

涼介を見送ってから僕を振り返った義母が、

同じように鞄を見て微笑んだ。

 

昔から優しい人だった

だから本当は招かざる客の僕をみても

困った顔を見せない。

 

「い、いえ、この鞄は‥違うから。

それに昨夜、クリスマスはした・・」

 

言いかけたところで、

玄関から奥のリビングにあるツリーが見えた。

今日までは飾っておくんだな。

 

やっぱりここに居ちゃいけない。

 

「涼介には、プレゼント後で送るって伝えてください。

帰ります。」

いきなり僕の腕が強く握られた。

 

「智さん、待って。

あのクリスマスツリーを見てちょうだい。」

「えっ、ツリー?」

「あれ、覚えている?

私がここに来た時に、智さんと買ったツリーよ。

あのツリーを飾ると、智さんと過ごした日を思い出すの。

楽しかったって。

 

辛かったでしょう。

聞いたの、事故のこと。

櫻井さんの御両親から。

すぐにでも会いたかったけど、

本人がおしえたくないっていっているから

来ないでくださいっていわれて。

ごめんなさい。

私のせいね。

辛いのに話すこともできないって

思わせてしまったのは。

全部、私のせい。

智さんに憎まれても仕方ないってわかっています。

智さんの気持ちも考えないで

涼介を生んだのから・・。

だけど、涼介は許してあげて。

お願いします。

 

今更だけど、

いつでも戻ってきて。

ここは智さんの家なんだから。

お父さんも涼介もみんな待っているから。」

 

僕は、ツリーを見つめた。

それは、昔、一緒に選んだクリスマスツリー

それを居間のテレビの横に飾って、

義母が焼いたスポンジケーキに二人で

クリームといちごで飾り付けして・・・

朝、枕元にはプレゼントが置いてあった。

 

何回か義母と過ごした

遠い昔のクリスマスを思い出して、

僕は涙が零れ落ちた。

そうだ、僕はたしかに義母に愛されていた。

そして、今も義母は変わっていない。

僕だけが変わっていた。

 

「義母さん・・・

僕は誰も憎んでなんかいません。

でも、僕が誤解していました。

僕はいらないんだって。

邪魔なんだって。」

「そんな・・

そんなことないわ。

智さん。

貴方は大事な人よ。

悲しい気持ちに、

気づいてあげられなくてごめんなさい。」

 

涙を零す僕の両手を義母は、

強く自分の手で握りしめてくれた。