こんにちは
これまで2回に亘って、「日本を取り巻く大問題」として…
尖閣諸島問題と
少数民族問題を
勉強してみました
さらに今回は、最近クローズアップされている次の3点、すなわち…
1.ウイグル人の強制労働への関与
2.中国依存からの転換
3.北京冬季オリンピックへの影響
を勉強し、このシリーズを締め括ります。
1.ウイグル人の強制労働への関与
令和2(2020)年3月、オーストラリア戦略政策研究所(ASPI)は「Uyghurs for Sale(ウイグル売出中)」という報告書を発表し、ウイグル人の強制労働に関与した疑いのある企業82社を公表しました。
なんと…
この報告書に日本企業11社が含まれていたのです
(黄色の網掛けは私が加筆)
米英の対応
新疆ウイグル自治区でウイグル人を強制労働させたとして、米英両国は、自治区に関連した綿製品などの輸入規制に踏み切りました。
日本の対応
この報告書は、日本ウイグル協会などのNPO法人を通じて、電子機器や服飾を含む日本の小売り・製造業にも広がり…
令和3(2021)年2月21日、新聞各紙は「日本の主要小売り・製造業14社中12社が、中国の新疆ウイグル自治区などでの少数民族ウイグル族に対する強制労働への関与が確認された中国企業との取引を停止する方針を固めた。」と報じました。
当該日本企業の対応は、次のとおりです(2月21日現在):
前述の11社に加えて、京セラ、しまむら、良品計画も入っています
(出典:産経新聞および共同通信配信先)
このニュースが出た途端、「不買運動だ!」といった声が上がっていますが…
個人的見解
私は「14社全てが直接ウイグル人に強制労働をさせていた」のではなく、大半の会社は「委託先の中国企業が強制労働をさせていた」と思うのですが。。。
勿論、「企業の社会的責任」の面から見れば、猛省を促したい。
ここは冷静になって、「企業の改善姿勢を見てみよう」といった姿勢で、この「強制労働問題」を注視し続けようではありませんか
2.中国依存からの転換
令和3(2021)年2月24日、米国のバイデン大統領は、「戦略的に重要な製品のサプライチェーンを再構築する取り組みを加速する」旨の大統領令に署名しました。
大統領令に署名するバイデン米大統領(2月24日)
(出典:NHK)
この大統領令は中国を名指ししたものではありませんが、今後は半導体、電気自動車のバッテリー、希土類金属、医療製品を中心に、「対中依存度」を減らしていくことになりそうです。
これに対し、中国は当然に反論。
「政治の力で経済の原則を無理やり変えることは現実的ではない。自国が直面する問題を解決できないだけでなく、世界的なサプライチェーンを損なうことにもなるだろう。」と述べ、中国企業の意図的な排除に警戒感を示しました。
警告する中国外務省の趙立堅(ちょう・りつけん)報道官
(2月25日、出典:NHK)
日本の対応
梶山経産大臣は令和3(2021)年2月26日の閣議の後の記者会見で、「サプライチェーンの強靭化は日本においても重要な課題であると認識していて、経産省も、企業が取り組むサプライチェーンの多元化を支援している。」と述べました。
その上で、「大統領令では、同盟国、友好国との協力についても触れられていることから、今後、日米でどのような連携ができるか議論していきたい。」と述べ、サプライチェーンの強化に向けて米国と連携を図っていく考えを示しました。
記者会見に臨む梶山経産大臣(イメージ)
3.北京冬季オリンピックへの影響
中国の「ジェノサイド」の疑いは、北京冬季オリンピックの開催にも影響し始めています
北京冬季オリンピック
令和4(2022)年2月4日~2月20日
北京冬季オリンピック(イメージ)
推進派と
ボイコット派
過激な行動は、却ってマイナスイメージだと思うのですが…
(下画像の旗は、かつてのチベット国旗(雪山獅子旗)です)
諸外国の対応
米 国
令和3(2021)年2月2日、米連邦議会では、共和党の上院議員7人が中国での開催に反対する決議案を提出しました。
そこには「中国政府が宗教や言論などをめぐる基本的な人権状況を大幅に改善させない限り、国際オリンピック委員会(IOC)は来年の開催国を再検討する必要がある」と記されています。
しかしながら、バイデン大統領の決定は出ていません。(2月25日現在)
英 国
令和3(2021)年2月24日、ジョンソン首相は下院で、「中国に責任を問うため、国連での国際的な行動を主導している。」と説明する一方で、「英国は通常、スポーツ大会のボイコットを支持していない。」と述べ、北京冬季オリンピックへのボイコットに否定的な考えを示しました。
ジョンソン首相(出典:The Nationalサイト)
日本の対応
東京オリパラを控える日本。それもあってか、北京冬季オリンピックに関する政府からの公式見解は出ていません。(2月25日現在)
東京オリンピック・パラリンピック
令和3(2021)年7月23日~8月8日
(「tsuru @FC東京ストロングマシン2号」さんの
Twitterからお借りしました)
中国の反論
令和3(2021)年2月24日、中国共産党の広報的役割をしている中国官営メディア「環球時報」の胡錫進(こ・しゃくしん)編集長は…
「北京冬季オリンピックのボイコットは、 広範囲の支持を得ることはできず、IOCと選手たちも反対するだろう。」とし、「ボイコットを行ういかなる国に対しても、北京は強力な制裁を加えるだろう。」と警告しています
胡錫進編集長が反論しているツイッター
(令和3(2021)年2月24日)
過去のボイコット事例
近代オリンピックの中止事例は夏冬合わせて5回あり、いずれも戦争が理由でした。また、5回のうち2回は日本で開催される予定でした。
一方、ボイコット事例を見てみると…
昭和51(1976)年のモントリオール大会:
南アフリカの人種隔離政策に反対するアフリカ諸国(22ヶ国)が大会直前に参加を辞退しています。
また、中国は中華民国政府の統治する台湾からの選手出場を理由にボイコットしました。
昭和55(1980)年のモスクワ大会:
東西冷戦が大きく影響し、米国がソ連のアフガニスタン侵攻に抗議してボイコット。
日本、中国、西ドイツ、韓国、イスラム教諸国、反共的立場の強い諸国など50ヶ国近くが追随しました。
昭和59(1984)年のロサンゼルス大会:
その報復措置としてソ連、東ドイツ、ポーランド、チェコスロバキア、ハンガリーなど多くの東側諸国がボイコットしました。
オリンピック・ボイコット事例
■ 1976年のモントリオール大会をボイコットした国
■ 1980年のモスクワ大会をボイコットした国
■ 1984年のロサンゼルス大会をボイコットした国
(出典:Wikipedia)
個人的見解
「平和の祭典」を旗印として、特別の意味を持つオリンピック。
感染症による延期は別として、国際紛争やイデオロギーの衝突によって、オリンピックが中止やボイコットに繋がることについて、私は納得がいきません。
なぜなら…
(これまで学んだように)中止やボイコットの結果は…
「報復の応酬」であり…
その後に残るものは…
「不毛」のみだからです。
それよりもむしろ…
オリンピックの開催を通じて…
「世界は一つ」という“思い”を取り戻す数少ないチャンスなのではないでしょうか。
オリンピック・シンボルを眺めながら、そう思いました。
3回に亘って「日本を取り巻く大問題」を(自分なりに)整理してみましたが、こうしている間にも、状況は刻々と深刻化しています。
次回のブログからは、またいつものトーンで楽しむつもりです。
これからもこの問題に関心を持ちながら。。。
今回の一句です
ではでは