こんばんは
北陸の日本酒シリーズ。
富山県、石川県に続いて、最終回の今回は…
福井県
そして、ご案内役は…
バーチャル獏さん
大和田 獏さんは、福井県敦賀市のご出身です
皆さんは、“福井県の観光スポット”と聞いて何が思い浮かびますか
東尋坊と永平寺以外、特に何も思い浮かばない方のために、いくつかご紹介しましょう
福井の観光スポット
1.東尋坊 (坂井市三国町)
日本海に突き出した柱上の断崖が1㎞も続く奇観です。
観光遊覧船から眺める景観も見ごたえがあります
2.曹洞宗大本山永平寺 (吉田郡永平寺町志比)
出家参禅(出家するための修業)の道場として、寛元2(1244)年に道元禅師によって開創されました。
樹齢680年といわれる老杉に囲まれた敷地には、70余りの殿堂楼閣が点在しています
3.一乗谷朝倉氏遺跡 (福井市城戸ノ内町)
朝倉氏が築き上げた城下町の跡で、国の特別史跡・特別名勝に指定されています。
復元された武家屋敷を歩けば、戦国時代にタイムスリップ
4.恐竜王国 福井
福井県は(知る人ぞ知る)“恐竜王国”で、恐竜の化石が各地で発掘されています。
化石発掘体験(野外恐竜博物館)
① 平成12(2000)年には県立恐竜博物館が開館。40体を超える恐竜の全身骨格が展示されています。
さらに…
② 北陸新幹線の敦賀駅延伸事業の一環で、福井駅が大変貌
駅前には「恐竜広場」まで出現し、原寸大の3体の恐竜やトリックアートが出迎えてくれます
令和元(2019)年11月に訪れました
4.丸岡城 (坂井市丸岡町霞町)
天正4(1576)年、織田信長の命を受けた柴田勝家が、甥の勝豊に築城させた平山城(ひらやまじろ)で、「霞ヶ城」(かすみがじょう)ともいいます。
現在は天守閣を残すのみですが、二層三階の天守は城郭建築史上重要な遺構となっています。
6.あわら温泉 (あわら市あわら温泉)
明治16(1883)年に灌漑用の井戸から湧出し、開湯130年余りの歴史を誇る、北陸を代表する温泉地です。
「あわら湯のまち駅前」にある「あわら温泉屋台村 湯けむり横丁」では気軽に食事を楽しむことができ、観光客にも人気のスポットです
ならば、福井県のお祭りを見てみようではありませんか
福井のお祭り
旅行のクチコミと比較サイト「フォートラベル」によれば、福井県には24ものお祭りがあります。そのなかからベスト5をご紹介しましょう。
1.とうろう流しと大花火大会 (敦賀市松島町 気比の松原海岸。8月16日)
(獏さんのふるさと)敦賀市には、日本三大松原の一つで国の名勝にも指定されている「気比の松原」(けひのまつばら)があります
(参考:日本三大松原とは、三保の松原(静岡県静岡市)、虹の松原(佐賀県唐津市)、そしてこの気比の松原です)
ここで、毎年8月に行われる祭事が、とうろう流しと大花火大会です。
2.若狭おおいのスーパー大火勢 (大飯郡おおい町成海。8月上旬)
「スーパー大火勢」(スーパーおおがせ)とは、ヒノキにアシやススキを結んだ高さ20m、重さ1トンの木の葉形の巨大な松明(たいまつ)のことで、真夏の夜を焦がす迫力満点の火祭りです。
江戸時代初期から300年間続いていると言われています。
3.丸岡城桜まつり (坂井市丸岡町霞町。4月1~20日)
約400本のソメイヨシノが咲き乱れ、日本最古といわれる天守閣の下、大勢の花見客が訪れます。
夜になるとボンボリが桜を浮き立たせ、その光景はとても幻想的です。
4.小浜神社 お城まつり (小浜市城内、5月2・3日)
小浜神社の例大祭です。
県の無形民俗文化財である雲浜獅子(うんぴんじし)や大太鼓などの伝統芸能が奉納されます。
5.おおの城まつり (大野市、8月13~15日)
大野市内の各会場で踊りやイベントが開催されます。
8月13日の花火大会も人気があります。
ならば、福井県の郷土料理を見てみようではありませんか
福井の郷土料理
(画像は「福井県観光連盟」サイトよりお借りしました)
1.越前ガニ
「冬の味覚の王者」と称される“越前ガニ”は、江戸時代には幕府に献上されていたという古い歴史があります。
甘く引き締まった肉質と、コクのあるカニ味噌…。
刺身や焼きガニはもちろんのこと、茹でガニ、じゃぶしゃぶなど、どれをいただいても絶品です。
令和元(2019)年11月に訪れ、カニ料理を満喫しました
昼食:らでん(福井市中央)
夕食:紋や (福井市中央)
2.鯖のへしこ
福井県の伝統料理で、内臓を取り除いた鯖をぬか漬けにしたものです。若狭地方の方言で、「漬け込む」ことを「へしこむ」ということからその名がついたと言われています。
そのまま炙って食べたり、糠(ぬか)を洗い流しスライスしてどうぞ。
3.越前おろしそば
福井県は蕎麦栽培に適した緯度にあることや、石臼で製粉するため、日本有数の“蕎麦どころ”となっています。
越前おろしそばは、冷たい蕎麦に辛み大根おろし、刻みネギ、かつお節を添え、だし汁を掛けたシンプルな料理で、嶺北(れいほく)地方で食されてきた伝統料理です。辛み大根のピリピリ感が、蕎麦の風味を引き立てています。
4.若狭牛
明治時代から食されてきた、福井が誇るブランド牛です。北部の坂井市で多く飼育されており、サシ(霜降り)がきめ細かく、柔らかな肉質が特徴です。
シンプルに焼いたり、牛刺しや、しゃぶしゃぶでどうぞ
5.ソースカツ丼
福井県でカツ丼といえばこれ
揚げたカツを濃いめのソースにくぐらせ、温かいご飯の上に盛り付けた一品です。
もしも卵でとじるカツ丼が食べたいときは、「玉子カツ丼」と注文するんですって
元祖は福井市順化にある「ヨーロッパ軒総本店」の創業者、高畠増太郎氏。ドイツで西洋料理を学んだ高畑氏が帰国後に考案したそうです。
ヨーロッパ軒総本店 創業者の高畠増太郎氏
「福井県民のソウルフード」をぜひどうぞ。
7.敦賀ラーメン
(バーチャル獏さんの出身地)敦賀市生まれの“ご当地ラーメン”で、とんこつと鶏ガラベースの濃厚醤油スープに中細麺を合わせたソウルフードです。
昭和30(1955)年頃、敦賀駅周辺で営業していた屋台ラーメンが発祥といわれ、その後交通量の多い国道8号線沿いにも屋台が出るようになったそうです
国道8号線の屋台
(「敦賀屋台ラーメンルポ」ブログよりお借りしました)
8.油揚げ
1世帯あたりの油揚げ・がんもどきの消費量では、50年以上連続で日本一に輝く福井県
都道府県別 油揚げ・がんもどきの消費量
福井県は仏教信仰が厚く、浄土真宗の報恩講(ほうおんこう)などの仏事で供される料理やお祝いの席で出される油揚げ料理が、一般家庭に浸透していったと言われています。
なかでも坂井市丸岡町竹田の山間にある谷口屋本店は、油揚げをメインとする定食や油揚げの佃煮などが絶品で、“行く価値あり”のお店です。
令和元(2019)年11月に訪れました
これだけ郷土料理が充実しているのですから、日本酒も期待度120%
この勢いで、福井県の日本酒を眺めてみようではありませんか
福井の日本酒
福井県には38の酒蔵があります。(2020年に自醸している酒蔵)
日本酒は、水(仕込水)と米(麹米と掛米)と杜氏(酒造りの最高責任者)が重要な“鍵”となります。
1) 福井の水
「約8割が“水”でできている日本酒」は、“良い水”が命。
(以下、「水のソムリエ」さんのサイトからお借りしました)
福井県には、「越山若水」(えつざんじゃくすい)という言葉があります。
「越山若水」とは、①越前の緑豊かな山々と②若狭の清らかな水の流れを指しています。
福井県の“名水”を見てみましょう
福井県では、県内の湧水などを「ふくいのおいしい水」として認定しており、その数は35ヶ所にも上っています
福井県作成の「ふくいのおいしい水地図」
これらの名水が、日本酒造りや和菓子作りに使われているのです。
2) 福井の酒米
(富山県や石川県もそうでしたが)福井県内で使われている酒米(酒造好適米)の多くは“五百万石”(原産地は新潟県)。JA(農業協同組合)のなかでは、新潟県に次いで全国第2位の収穫量を誇るそうです。
さらに…
平成9(1997)年からは“奥越前山田錦”(原産地は兵庫県)の栽培が始まりました。
さらに、さらに…
「農業経営の将来を見据えて、五百万石に続く酒米を造りたい。それも奥越前独自の新品種を」との願いが実現し、平成15(2003)年には、奥越前発祥の新品種“越の雫”(こしのしずく)が登録されました
越の雫は、五百万石の「芯の強さ」や、山田錦の「キメの細かさ、優美さ」とは異なる、「潤い、優しさ、滑らかさ」という個性を持っています
さらに、さらに、さらに…
「福井県オリジナルの高級酒米品種を開発しよう」と、平成22(2010)年から8年にわたる研究と、8,000種を超える候補選抜のなかから、越の雫を父、山田錦を母として、“さかほまれ”を誕生させました
「さかほまれ」を使った日本酒は、県内17の酒蔵で造られています
“越の雫”や“さかほまれ”を使った日本酒を呑みたいものです…うん
3) 福井の杜氏
福井県の杜氏(とうじ。酒造りの最高責任者)といえば、“大野杜氏”と“越前糠杜氏”(えちぜんぬかとうじ)という2つの杜氏集団があります。
しかし…
高齢化と後継者難により、いずれも消滅の危機に瀕しています。
その一方で、近年では徐々に蔵元(酒蔵の当主)自身が杜氏を兼ねるようになってきました。さらに、福井県でも20~40代の若手杜氏に世代交代しつつあるようです。
そんな若手杜氏のお一人をご紹介しましょう
吉田郡永平寺町の吉田酒造で杜氏を務める吉田真子さん(27歳)です。
お母様の由香里さん(左)は蔵元。真子さんは蔵元の次女です
それでは…
次の2つの酒蔵をバーチャル訪問してみましょう
① 常山酒造 (とこやましゅぞう)
醸造所:福井県福井市御幸(みゆき)
(福井駅から南東へで5分ほど)
創 業:文化元(1804)年
人口26万人の福井市には、常山酒造を含めて14軒もの酒蔵が集まっています。
そのうちの一つ舟木酒造(福井市大和田町)さんには、令和元(2019)年11月に訪れました。
左から2人目は野尻和徳杜氏。右のお二人は蔵元の舟木さん。
話を常山酒造に戻して…
杜氏は、9代目蔵元(専務)の常山晋平(とこやま しんぺい)氏。
昭和59(1984)年生まれで、平成27(2015)年から杜氏
酒米は五百万石、山田錦、越前美山錦などの県産米にこだわり…
仕込水は白山水系の伏流水にこだわり…
造りは伝統にこだわり…
醸造現場から試飲ラウンジまで、清潔にこだわり…
これらの努力の結果…
平成30(2018)BY(=醸造年度)全国新酒鑑評会では常山 大吟醸 吉祥黒松が金賞を受賞
令和2(2020)年のフランス“Kura Master 2020”純米大吟醸酒部門で常山 純米大吟醸 特別栽培米 美山錦が金賞を受賞
今や福井の名だたる銘酒に並び立つ実力を持った酒蔵に成長しています。
今回バーチャル試飲する日本酒はこちら
蔵元杜氏の常山晋平氏による“こだわりの酒”をお愉しみください
常山 純米超辛
「超辛」というネーミングは、「日本酒度が+10」であることから伺えます。(純米酒の平均的な日本酒度は+3です)
② 黒龍酒造 (こくりゅうしゅぞう)
醸造所:福井県永平寺町松岡春日
(福井駅から北東へで20分ほど)
創 業:文化元(1804)年
福井市のお隣にある永平寺町には、黒龍酒造を含めて3軒の酒蔵があります
黒龍酒造(吉田郡永平寺町松岡春日) 田邊酒造(吉田郡永平寺町松岡芝原)
吉田酒造(吉田郡永平寺町北島)と
女性杜氏の吉田真子さん(前掲)
かつては、松岡地区だけでも17軒もの酒蔵が軒を連ねていたのに…うん
そのなかで…
今回ご紹介する黒龍酒造は、加藤桔平商店の「梵」(ぼん)や安本酒造の「白岳仙」(はくがくせん)と並んで、全国的にお馴染みの酒蔵となっています。
加藤桔平商店(鯖江市吉江町) 安本酒造(福井市安原町)
今や黒龍酒造は蔵を2つも構えるほどの人気酒蔵に成長しています
酒造りに関しては、昔ながらの“こだわり”が…
この“こだわり”こそが、黒龍の人気を保つ秘訣なのでしょう。
九頭龍 純米
「九頭龍」はフラッグシップ銘柄「黒龍」の姉妹品で、比較的入手しやすく、お値段も手ごろ(720ml入りで1,300円前後)です。
“九頭龍”という酒銘は、福井県最大の河川「九頭竜川」の伏流水を仕込水としていることに由来しています。
令和元(2019)年11月には、永平寺町のお隣、坂井市丸岡町にある久保田酒造さんを訪れました
いかがでしたか、福井県は。
それでは、福井県の日本酒を…
呑みに行こっさ (呑みに行きましょう )
おーきんのぅ (ありがとうございます )
このところ「日本酒」のテーマが続き恐縮ですが、北陸3県の集大成として、次回は12月19日に開催した「日本酒セミナー【北陸の純米酒】」の模様をお伝えします。
今回の一句です。
“地味”に見える福井県でありながら…
実は“滋味”に溢れる福井県…
ではでは
唎酒師ろっきぃでした