いすみ鉄道と県、沿線自治体等で、存廃を含めた今後の在り方についての検討会を設置し、5月27日に初会合が行われました。今回は、いすみ鉄道の存廃問題及び今後の展望についても考察したいと思います。

 

 

 

 

1.いすみ鉄道の概要とこれまでの経緯

 いすみ鉄道は、JR外房線の大原駅から大多喜駅を経由し、房総半島内陸部の上総中野駅までを結ぶ第三セクターのローカル線です。菜の花を思わせる黄色と緑の車両が走り、東京から比較的近いローカル線としても親しまれています。

 積極的に観光列車を走らせるなど、利用者向上の施策を打ちつつ維持されてきましたが、2024年10月に国吉~上総中川間で脱線事故が発生し、現在に至るまで全線で運休中となっています。

 脱線事故の原因は、枕木の腐食・ひび割れによりレールの幅を維持できなかったこととされています。線路補修の不十分さが問題となったこともあり、長期間運休する事態となっています。

 このうち、大多喜~大原間については、2027年秋の復旧を目指すことが公表されていますが、上総中野~大多喜間については復旧の見通しは立っていません。

 

2.存廃協議の背景

 いすみ鉄道の輸送密度は、全線でみて300台で推移しているようです。先日廃線が確定的となった名鉄広見線が1,700ほどであると考えると、かなり厳しい数字と言えます。上総中野~大多喜間は全線の中でも利用者が少ないので、さらに輸送密度の数値が小さいとみられます。

 令和6年の脱線事故において、いすみ鉄道では設備の維持更新の在り方に問題があることが分かりました。鉄道として維持していくためには、これまで以上にお金と労力をかけなければいけません。そうした中で、利用者が極めて少ない上総中野~大多喜間を鉄道路線として本当に復旧させるのか?という話になり、協議会を設立して存廃協議へと至りました。

 

3.今後の展望

 存廃協議では、存続や廃止どちらかありきではなく、幅広く議論することとされています。ただ、数値だけでみれば、存続は大変厳しい状況にあるかと思います。維持するための自治体の負担もさらに大きくなるとみられ、名鉄広見線のように存続したくてもできない状況に追い込まれる可能性も十分にあります。

 また、いすみ鉄道の存廃議論が本格化すると、小湊鉄道の路線にも議論が広がることが考えられます。小湊鉄道は五井駅と上総中野駅を結ぶローカル線であり、上総中野駅でいすみ鉄道と乗り継ぐことができます。

 しかし、小湊鉄道も上総牛久~上総中野間は利用者が少なく、本数も1日10往復以下となっており、長い目で見れば存廃は不透明な状況です。特に養老渓谷~上総中野間は地元利用が皆無に等しく、定期列車は1日2往復まで減便されているため、いすみ鉄道の上総中野~大多喜間が廃線となれば、養老渓谷~上総中野間もセットで廃止となる可能性が極めて高いとみられます。

 

4.まとめ

 いかがでしたでしょうか。ここにきていすみ鉄道は、かつてないほど厳しい局面に立たされていることが改めて浮き彫りになりました。

 一時は観光列車を積極的に走らせるなどして利用を取り込んできましたが、地元の利用が少ないと鉄道の存続は難しいこという厳しい現実を映し出しています。

 最終的には、沿線自治体がお金をどこまで出せるかで、存廃の運命が決まると思います。とはいえ、本当に目指すべきことは鉄道の存続ではなく、地域の実情に合った交通体系を作るという点です。鉄道を廃止してバスなどに転換したほうが地域の移動需要を取り込める、より持続していけるということであれば、廃線にして次の交通体系づくりを考える方が得策でしょう。今後のゆくえに注目です。