先の記事で、紙の時刻表の役割についての記事を出しました。今回はこれに関連し、時刻表を見ることの面白さや、どのように時刻表を見ると面白いのかについて解説したいと思います。

 

 

 私はいわゆる「時刻表鉄」で、紙の大型時刻表を毎年購入して愛用しています。大型時刻表には、交通新聞社が発行する「JR時刻表」と、JTBパブリッシングが発行する「JTB時刻表」の2種類があり、私はJTB時刻表を使っています。

 

 

そんなことを書くと…

 

「乗換検索サイトが充実しているんだから、乗り継ぎはネットで調べればよくない?」

「紙の時刻表はもはや不要じゃね?」

「あんな細かな数字の羅列を見て何が面白いの??」

「紙の時刻表をみて面白がるとか…悪い意味でオタクっぽい、近づきがたい…」

 

 どちらかというと、ネガティブな印象を持つ方が多いかもしれません。(私の被害妄想ならよいのですが…)

 しかし、時刻表は単なる列車の時刻だけでなく、いろいろなことを教えてくれます。この記事を読めば、あなたも鉄道路線についてもっと研究したくなる…かもしれません。

 

1.入門編 ~ぱらぱらめくって見る面白さ~

 JR時刻表やJTB時刻表は、JRの全路線全列車についての時刻が基本的に掲載されています。(都心部の本数が多い路線については、一部駅・一部列車のみ掲載)

 そのため、こうした大型時刻表は「JRの列車の時刻が掲載されている」というイメージを持たれがちです。しかし実際には、私鉄路線についての情報(始発・最終列車の時刻と営業キロ・運賃)や路線バス、国際航路を含めた船や飛行機の時刻も掲載されています。時刻表は鉄道だけのものではないのです。

 大型時刻表には索引地図があり、そこには日本全国の鉄道路線や航路・路線バスがページ数とともに掲載されています。その索引地図を見ると…

 

「A地点からB地点まで、鉄道だと遠回りだけど、まっすぐ結ぶバス路線があるのかー」

「この場所に温泉があって、〇〇駅からバスでアクセスできるのかー、今度行ってみようかな」

 

 こうした発見をすることができます。これは紙の地図にも言えることですが、何気なく眺めていて、見つけることで知るというのが、時刻表を見る面白さの一つです。

 他にも、「東京から大阪まで在来線で行ったらどれくらいかかるんだろう?」「東京駅を始発で出たらどこまで行けるんだろう?」というような、机上で妄想旅行を楽しむこともあります。所詮は妄想なのですが、いざ旅行に行く段になって過去の妄想が役に立つという事も意外とあります(笑)

 

2.紙の時刻表のメリット ~全体が見える!~

 紙の時刻表のメリットは、その路線全体を見渡せるという点にあります。具体例をもとにみてみましょう。

 

<例1>早く行くか、座っていくか

 下の時刻表は、総武快速線の平日の時刻表を一部抜粋したものです。この時刻表をもとに、千葉駅から東京駅までどの列車で行くかを考えてください。なお、東京駅には18時30分までに到着しなければならないものとします。

 

 

 東京駅に18時半までに到着するという条件で調べると、千葉17:45発の快速久里浜行き(1614F)に乗れば、東京駅に18:25に到着できるということがまず読み取れます。

 しかし、1614F列車は始発駅が千葉駅ではなく成田空港駅となっています。そのため、千葉駅時点で既に多くの乗客がおり、座ることは難しいかもしれません。左に目をやると、千葉17:34発の快速横須賀行き(1742F)があり、これは千葉が始発駅となっています。東京駅にも18:13に到着できるので、時間的な余裕もあります。

 なお、これを乗り換え検索サイトで調べると、次のように候補が出てきます。

 

候補1:千葉17:45→東京18:25  快速久里浜行き

候補2:千葉17:34→東京18:13  快速横須賀行き(当駅始発)

候補3:千葉17:22→東京18:01      快速逗子行き

 

 乗換検索サイトで十分答えを得ることはでき、大方の人は千葉17:45発の快速久里浜行きか、17:34発の快速横須賀行きに乗るという選択をされるのではないかと思います。

 しかし、紙の時刻表をみると、乗り換え検索サイトに出てこない乗り継ぎができることが分かります。

 

・千葉17:45→津田沼17:56、18:02→東京18:30

・千葉17:22→津田沼17:33、17:42→東京18:09

 

 総武快速線には、時間帯によっては津田沼始発の列車も設定されています。そこで、千葉駅から快速に乗り込み、あえて津田沼駅で下車し、後続の津田沼始発の列車に乗り換えるという手があることが分かります。こうした乗り継ぎを見つけられるのは、全体を見渡せる紙の時刻表ならではのメリットです。

 また、千葉駅には特急「成田エクスプレス」が1時間に1本停車します。千葉~東京間の特急料金は、実は快速のグリーン料金とほとんど差がありません。このことを知っている人であれば、「成田エクスプレスを使っていけないか?」と考えた方もおられたでしょう。

 時刻表を見ると、特急「成田エクスプレス」で行こうとすると、東京に18:30ごろに到着する列車はありません。しかし、「とにかく移動時間を短くしたい、快適に移動したい」という方は、成田エクスプレスで東京へ向かい、東京駅周辺で時間をつぶそうと考えた方もおられるかもしれません。乗る列車ありきで行程を考える場合は、紙の時刻表が重宝します。

 

<例2>どこで列車を追い抜いている?

 

 

 上の時刻表からは、次のことが読み取れます。

 

千葉17:08発→東京17:52着 快速久里浜行き(1640F)

千葉17:14発→東京17:57着 快速東京行き(1702F)

千葉17:19発→東京17:45着 特急「成田エクスプレス38号」大船・新宿行き

 

 千葉駅を先に発車する2本の快速列車よりも、特急「成田エクスプレス38号」のほうが早く東京駅に到着していることが分かります。となると、どこかでこの2本の快速列車を追い抜いていることになりますが、いったいどの駅で追い抜いているでしょうか?

 

 

 まず、1640F快速列車からみてみましょう。1640Fの船橋駅発車時刻は17:24、市川駅発車時刻はその10分後の17:34となっています。しかし他の列車をみると、船橋駅を発車してから6~7分後に市川駅を発車していることが分かります。市川駅を発車するまでに3~4分余計にかかっていることになりますが、なぜでしょうか?

 ポイントは、この時刻表には発車時刻のみ掲載されており、到着時刻は掲載されていないということです。実際は6分ほどで市川駅に到着しているのですが、後続の特急を通過待ちするために3~4分ほど停車していると推測することができます(図の赤色部分)。

 同様にして、1702F快速列車についてもみてみると、稲毛駅を発車してから津田沼駅を発車するまでに、他の列車より2~4分多くかかっていることが分かります。そのため、津田沼駅で後続の特急列車を通過待ちしているのではないか?と推測することができます(図の青色部分)。

 そうした推測を立てることができれば、続けてその駅や路線全体の配線を調べるなどして裏付けをとります。実際に、市川駅と津田沼駅は列車の追い抜かしが可能な構造となっており、特急列車が快速列車を追い抜いています。

 

<例3>運行パターン、運行本数、速さ…分かることはたくさん

 次の時刻表はJR東海道本線(京都線)の大阪~京都間の12時台の時刻表です(特急列車は省略)。この時刻表からはどのようなことが読み取れるでしょうか。皆様も一緒にお考え下さい。

 

 

 それでは、解答例をいくつか挙げたいと思います。が、ここで挙げたこと以外にも読み取れることはたくさんあります。

 

(1)列車本数

 まず、列車本数については、新快速と快速が毎時4本ずつ、普通列車が毎時8本走っていることが分かります。高槻駅を境に列車本数が異なっているので、「高槻駅を境に利用需要に差があるのではないか?」という推測ができます。

 

(2)列車種別

 種別は、新快速・快速・普通の3種類があることが分かります。普通列車は高槻駅までの運転となっており、高槻駅から先、京都方面は快速列車が普通列車の代わりを務めていることが読み取れます。

 他に特筆すべきこととしては、新快速の停車駅の少なさでしょう。大阪~京都間では新大阪・高槻にしか停車しません。通過を示す「レ」マークがたくさんついているところを見ても、いかにも速そうな感じがします。

 

(3)営業キロと運賃・速さ

 時刻表には、営業キロが記載されています。運賃表や運賃計算のルール・特例が時刻表の後ろの方に全て掲載されているので、これをもとに運賃を算出することができます。

 また、営業キロと所要時間から、列車の平均の速さ(表定速度)を求めることができます。例えば、新快速は大阪~京都間42.8kmを29分で駆け抜けているので、時速は42.8÷29×60=88.5517… なんと平均時速88.5km/hで走っていることが分かります。関西の新快速はとても速いことで有名ですが、数字にしてみると改めてその速さを実感することができます。

 時刻表だけみると、快速列車は一見遅そうですが、快速列車の表定速度は42.8÷42=61.1428… 約61km/hであり、決して遅いわけではない、ということも分かります。

 

(4)長距離列車

 始発駅と終着駅を見ると、新快速と快速は長い距離を走っていることが分かります。新快速をみると、始発駅は兵庫県西部の姫路であり、終着駅は滋賀県もしくは福井県の敦賀となっています。関西の端から端まで走る長大列車であることがうかがえます。

 

3.まとめ

 いかがでしたでしょうか。まだまだご紹介したいことはあるのですが、長くなってしまうので一旦ここまでにします。時刻表を眺めていると、たくさんの発見をすることができますし、「ここはどうなっているんだろう?」という疑問が浮かぶことがあります。また、実際に旅行をしていて浮かんだ疑問を、時刻表で調べることで理解が深まることもあります。

 紙の時刻表のメリットは、「その路線・列車の全体を見渡すことができる」という点です。そのメリットを念頭に置きつつ、あなたも時刻表を開いてみてはいかがでしょうか??