皆様は「臨時列車」と聞くと、どんな列車を思い浮かべますか?一般的に「臨時列車」というと、次の2パターンに分類できます。
(1)大規模なイベントが開催される場合
例えば、有名な歌手のコンサートが実施される、花火大会やマラソン大会など多くの人が集まるイベントが開催される、という場合は、通常よりも著しく利用が増えるので、既存の列車だけでは乗客を捌くことができません。そこで、来場者がスムーズに行き帰りできるようにすること、ホームや列車内の混雑を緩和させるために、その日限りの臨時列車を設定するというわけです。
(2)GW・お盆・年末年始・3連休初日・最終日など
これらの日には、レジャー客や帰省客の利用が増え、鉄道の利用者が普段よりも著しく増加します。そのため、臨時列車を設定して捌くというわけです。
このほかにも、定期列車として設定するに需要があるかを試すべく、実験的に臨時列車が設定される場合もあります。
2.東海道新幹線の”変わった”臨時列車
しかし、東京~新大阪間を結ぶ東海道新幹線の臨時列車には、上で挙げたような一般的な臨時列車のパターンに該当しない列車も存在しています。大きく分けて2パターンあるので、順に見てみましょう。(運転日はJTB時刻表令和7年3月号をソースとし、令和7年3月15日~6月30日までの期間中のものを示す)
(1)毎日運転でよくね?パターン ~臨時「のぞみ295号」新大阪行きのケース~
東京7:09発の臨時「のぞみ295号」(東京7:09→新大阪9:36)の運転日を見ると「3月15→22・24→31日・4月3日→5・9→12・14→19・21→27・29日・5月2→4・6→17・19日→6月21・23→28日運転」とあります。これなら毎日運転でよくね?というレベルですね(笑)
逆に運行がない日は、3/23(日)・4/1(火)~2(水)・4/6(日)~8(火)・4/13(日)・4/20(日)・4/28(月)・4/30(水)~5/1(木)・5/5(祝)・5/18(日)・6/22(日)・6/29(日)~30(月)となっています。日曜日に運行がない日が多めになっていますが、運休日のパターンも一定ではなく、つかみどころがない列車といえます。
(2)事実上の延長運転パターン ~定期列車「のぞみ251号」新大阪行きと、臨時列車「のぞみ189号」博多行きのケース~
定期列車「のぞみ251号」(東京17:00→新大阪19:30)と、臨時列車「のぞみ189号」博多行き(東京17:00→博多22:03)の運転日は以下の通りとなっています。
のぞみ251号:3月16・19・21・23・30・4月4・11・13・18・25・5月2・5・6・11・25・30日・6月13・15・29日は運休
のぞみ189号:3月16・19・21・23・30・4月4・11・13・18・25・5月2・5・6・11・25・30日・6月13・15・29日運転
「のぞみ251号」は定期列車ですが、ずいぶん運休日が多くなっています。しかしよく見ると、「のぞみ251号」の運休日に「のぞみ189号」が運行されていることが分かります。この「のぞみ189号」は東京~新大阪間で「のぞみ251号」と同時刻で運行されているので、実質的には特定日に新大阪~博多間を延長運行している、というわけです。
「のぞみ189号」の運行日は、金曜や休前日・日曜に多めに設定されていますが、設定日のパターンは一定しているとはいえません。
3.どうして変わった臨時列車が多い?
上記はあくまでも一例ですが、東海道新幹線の臨時列車は運行日が異様に多いものや、設定日のパターンが一定していないものが多くあります。どうしてそのような臨時列車の設定の仕方をしているのでしょうか?それには、東海道新幹線ならではの事情があります。
東海道新幹線は、首都圏・名古屋・京阪神の三大都市圏を結んでおり、多くの乗客が利用しています。また、ビジネス客も多いというのも特徴です。
通常の路線であれば、「平日」「土休日」の2パターンでダイヤを組むことが多いですが、東海道新幹線の場合はそうはいきません。
例えば、同じ平日でも金曜日は、週末だけ自宅に帰るという方(単身赴任者など)の利用、行楽地へ前乗りする方の利用などで、若干利用が多くなることが考えられます。土休日においても、土曜日は午前中に西行きの利用、日曜の夕夜間は東行きの利用が多くなるでしょう。他にも、3~4月は進学・就職・人事異動シーズンにより、転居などで人の移動が多くなるなどの事例も考えられます。
そのため、東海道新幹線の移動需要は、日によって細かな変化が多くあると考えられます。そんな中で、定期列車の本数を多くすると、どうなるでしょうか。定期列車はたとえ乗客がいなくても毎日運行しないといけないので、需要が少ない日にガラガラの列車を走らせることになってしまいます。
そこで、最低限必要な本数だけを定期列車として定め、あとは臨時列車をこまめに設定することで、細かな需要の変化に対応しようというのが、JR東海の狙いです。臨時列車として設定しておけば、本当に需要が少ない日だけ運行しないという設定の仕方ができるので、より効率の良い運行、収益アップにつなげることができるというわけです。
4.まとめ
いかがでしたでしょうか。祝日の配列によっても、移動需要は細かく変化します。常に一定の混雑率で乗客を捌く、需要に合った本数を設定して効率よく運行するーそのために、過去の利用状況も考慮したうえで、臨時列車の運行日を決定しているとみられます。一見不思議な設定の仕方をしている東海道新幹線の臨時列車も、考察していくとそこにはJR東海の並みならぬ企業努力があるというわけです。
時刻表をご覧の際は、一度東海道新幹線の臨時列車に着目してみてはいかがでしょうか??