日本屈指の混雑路線である、東急田園都市線。多くの人を都心に送り届けた列車たちの中には、役目を終えて鷺沼や長津田にある留置線や車庫へと帰っていく列車もいます。そのため、朝ラッシュ後(9~11時台)の東急田園都市線の下り列車は、回送列車を含めると多数の列車が走っており、とても忙しいんです!!

 そんな忙しい時間帯には、なんと回送列車に追い抜かされる普通列車が存在しています。それが、776T普通中央林間行きです。

 

 

 江田駅は2面4線で、列車の追い抜かしができる構造になっているため、普通列車が急行や準急の待避を行います。この776Tは、江田駅で約4分停車するのですが、その間に準急、そして回送列車に続けざまに追い抜かされます。

 このダイヤ設定が珍しい点は2つあります。

 

(1)回送列車に追い抜かされる

 通常、ダイヤを設定する上では、人を乗せない回送列車よりも旅客列車が優先されます。東急田園都市線においても例外ではなく、回送列車は急行や準急に追い抜かされながら車庫へと帰っていきます。

 しかし、旅客列車を100%優先してしまうと、回送列車は普通列車のあとをノロノロと走らざるを得なくなります。そうすると、後続列車がつかえてしまい、かえって所要時間の増大や遅延につながってしまいます。そのため、一部の回送列車は、普通列車を追い抜くダイヤにしていると考えられます。

 

(2)1つの駅で複数の列車に追い抜かされる

 通常、東急田園都市線では、待避を行う際は1つの駅で1本の列車しか追い抜かされません。しかし、朝ラッシュ直後の下りに限り、このように優等列車と回送列車の2本に追い抜かされる設定があります。

 時刻表には回送列車は掲載されておらず、時刻表上からは2本追い抜かされていることは分からないので、現場にいないとなかなかこの”二重待避”の存在には気づきにくいかもしれません。

 

 いかがでしたでしょうか。回送列車の追い抜きという珍しい光景を取り上げましたが、それだけ朝ラッシュも朝ラッシュ後も多くの列車が行き交っているということの表れであり、改めて東急田園都市線は忙しい路線であることを実感させられます。