人気YouTuberの西園寺さんが5月1日、「大阪駅から西へ東へ路線バスを乗り継いだらどこまで進めるか?」という対決企画の動画を公表しました。今回はこれについて分析します。

 なお、この記事は完全なネタバレ記事ですので、必ず本編をご覧の上でお読みください。まずは西園寺さん編です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 それでは、実際の行程を振り返ってみましょう。今回は乗車時間が明示されておらず、西園寺さん側の行程はラスト以外推定を多く含んでいます。あらかじめご了承ください。

 

 西 西園寺さん

大阪駅10:20→加島駅10:47…(徒歩2.5km)…JR尼崎駅11:50→阪神尼崎駅12:03、12:41→西大島12:55、14:10→阪神甲子園14:27(14:21)、14:44→阪神西宮15:09(15:04)、15:30→三宮駅前16:24(16:22)、17:13→神戸駅17:20頃?(17:13)、17:35→ひよどり台18:09、18:28→名谷駅18:46、19:42→伊川谷付近20:00

 

 東 ZAKIさん

大阪駅10:11→江口橋10:57…(徒歩2.1km)…一津屋上11:45→柱本団地12:03、12:08→JR高槻駅12:48、13:10→上牧駅13:33…(徒歩1.3km)…水無瀬駅…(走り2.1km)…JR山崎駅14:13→JR長岡京14:42、15:35→竹田駅16:15、16:31→京都駅16:50、16:54→三条京阪17:20,17:48→山科駅18:08、18:15→緑ヶ丘18:19…(徒歩4.0km)…大津駅19:40→唐崎一丁目付近20:00

 

 ということで、大阪駅からの直線距離ではZAKIさんが上回り、ZAKIさんの勝利となりました。見ていていろいろと気になる点もあったので、一つずつ検証したいと思います。

 

〇ルート検証

(1)大阪から兵庫へのアプローチ

 昨年までは大阪と兵庫の県境をまたぐバス路線がありましたが、現在は休止となっているため、県境は徒歩で越えるしかありません。

 そこで、西園寺さんは大阪シティバスに目を付け、県境手前の加島駅まで進み、徒歩で県境を越えて尼崎まで繋ぎました。ここでは2.5kmほど歩きましたが、この徒歩はもっと減らすことができました。以下のように乗り継げます。

 

大阪駅10:20→加島10:44…(徒歩0.8km)…戸ノ内11:05→阪神尼崎駅11:48

 

 大阪駅で乗ったバスを終点の加島駅まで行かずに手前の加島バス停で降り、800mほど北にある戸ノ内バス停へ向かえば、歩く距離は1/3に減らすことができました。しかし、阪神尼崎から先は実際ルートに収れんするので、大勢には影響ありませんでした。

 西園寺さんが阪神尼崎へ到着したのは12時半ごろでしたが、阪神西宮へ直通するバスは11:41に出てしまっており、次のバスは2時間後の14:32発となっています。実は、11:41の阪神西宮行きに乗り継ぐ方法もあったのですが、これについては後述します。

 

(2)宝塚へ向かっていたら

 西園寺さんは尼崎から宝塚行きのバスに乗り、西大島で降りて甲子園行きのバスに乗り継ぎました。しかし、このバスで終点の宝塚まで向かっていたら、大きく展開が変わっていました。以下の通り乗り継ぐことができます。

 

阪神尼崎12:41→宝塚駅13:31、13:42→JR西宮名塩駅14:00、14:20→岡場駅15:05、15:30→小名田15:39、16:09→淡河16:30、17:27→三木営業所18:00、18:22→社営業所18:56、19:39→農林水産技術総合センター前20:00

 

 なんと神戸市を脱出し、加西市まで到達することができます。神戸市の北部を東から西へ向かうイメージです。岡場駅からのアプローチがやや難しいですが、宝塚からとりあえず西へ西へと進んでいけば、西園寺さんであれば見つけられたでしょう。

 

 

 ここに到達できた場合、大阪駅からの直線距離は60.3kmとなり、西園寺さんの勝利となっていました。

 

(3)大阪駅での選択

 さらに話をさかのぼり、スタートの大阪駅での選択についても検証してみましょう。実は、尼崎に近づけるバス路線は他にもあり、大阪シティバス92系統を利用するという手があります。以下の通り乗り継げます。

 

大阪駅10:13→佃三丁目10:43…(徒歩0.9km)…阪神杭瀬駅北11:12→阪神尼崎駅北11:20、11:44→阪神西宮12:12、12:30→三宮駅前13:22、13:33→神戸駅14:12、14:30→ひよどり台15:00、15:48→名谷駅16:06、16:40→明石駅17:33、17:50→社営業所19:25、19:39→農林水産技術総合センター前20:00

 

 佃三丁目という場所は、阪神本線の千船駅から少し県境に寄った場所にあります。また、兵庫県に入ってすぐの場所に阪神本線の杭瀬駅があり、ここから阪神尼崎へ向かうバスが出ています。

 このルートをとると、1km弱の徒歩かつ実際ルートより短い距離で尼崎まで到達できるので、西宮へ直行するバスに間に合います。結果として、阪神西宮には3時間も早く到着でき、最終的には農林水産技術センターまで到達できます。

 ちなみに、杭瀬駅から出ているバスは、宝塚へ向かうバスです。このバスを宝塚まで乗りとおした場合も検証してみましょう。

 

大阪駅10:13→佃三丁目10:43…(徒歩0.9km)…阪神杭瀬駅北11:12→宝塚駅12:07、12:42→JR西宮名塩駅13:00、13:20→岡場駅14:05、14:35→淡河15:10、15:32→三木営業所16:03、16:27→社営業所16:59、18:00→姫路駅19:21、19:30→青山ゴルフ場19:57

 

 なんと姫路まで到達できます。バスが遅延しなければ、姫路市の西の端あたりまで進むことができます。青山ゴルフ場から大阪駅までの直線距離は81.3kmとなり、西園寺さんが圧勝したでしょう。

 

 

 ただ、この乗り継ぎの場合、開始早々に佃・杭瀬と乗り継ぐルートを見つけなければならず、このルートをとるのは難しかったと思います。

 

<まとめ>

 いかがでしたでしょうか。私が調べた限り、10時~20時の間で最も進める場合は、佃・杭瀬・岡場ルートになるかと思われます。

 海沿い(阪神間)はバスの本数が充実しているので、進みやすい一方、路線が細切れになっており、何度も乗換を強いられます。一方、鉄道空白地域となっている神戸市北部や三木市などは、比較的長距離を走るバス路線があり、乗り継ぎがはまれば一気に進むことができます。

 今回のポイントは、大阪駅と阪神尼崎駅の2か所にありました。阪神間の大半のバス路線は阪神バスの管轄ということを踏まえ、阪神本線沿いに進むこと、そして尼崎からは宝塚に転じて、長距離路線のある山側を進んでいくというのが、距離を稼ぐためのカギとなっていました。

 ただ、情報もない中、尼崎から山のほうへ進んでいく決断をするのは、非常に勇気のいることです。逆に神戸へのルートはバス本数も充実しているうえ、路線バス日本縦断の旅で経験済みなので、そちらに進みたくなるのは当然のことと言えます。

 今回、西園寺さんはミスらしいミスはなく、最善を尽くしたといえます。そんな中でも勝利したZAKIさんが凄かったのですが、次の記事でZAKIさんのルートについて検証してみたいと思います。