JR東海は17日、東海道新幹線を走るN700S車両の一部に、グリーン車より上級の完全個室タイプの座席を導入する旨を発表しました。

https://jr-central.co.jp/news/release/_pdf/000043528.pdf

 

1.概要

 グリーン車より上級の座席導入については、かねてからJR東海は示唆していましたが、今回その内容が少し明らかになりました。新たに導入される予定の座席は、個室専用のWi-Fi、レッグレスト付きリクライニングシートを完備し、照明の明るさや空調の風量、放送の音量を調節できる機能も備わるとのことです。室内でオンラインミーティングを行ったり、周囲の目を気にせずくつろげる環境が整えられています。

 座席は1編成につき2室設置されます。恐らく喫煙ルームがあった場所に設置されるのではないかとみられます。

 

2.ちょこっと分析

 かつて東海道・山陽新幹線で運用されていた100系には、4人用普通個室が連結されていました。普通個室は700系(ひかりレールスター)にも設置されましたが、九州新幹線開業以降は「ひかりレールスター」がほとんど廃止された関係で、今や普通個室の営業を行っているのは、ひかり590号のみとなっています。

 新幹線から個室そのものがほぼ消滅しているといっていい状況ですが、このたび東海道新幹線に個室が新設(というよりは復活)することとなりました。

 それではなぜ個室が復活することとなったのか。遠因はやはりコロナ禍と通信技術の向上でしょう。コロナ禍を経て、他人との接触や混雑を回避できる車両、列車への需要が高まりつつあります。

 また、オンライン会議やメール等の普及も大きいでしょう。特に東海道新幹線は、ビジネス客も多数利用するので、車内で仕事を進められる環境というのは、特にニーズとして強くあると思われ、今回導入される個室にもそのニーズに応える要素が詰まっているといえます。

 そのためか、プレスリリースで描かれている個室のイメージ図では、1人用個室のようです。新幹線や特急列車に導入されている個室はだいたい4人用なのですが、家族連れでの利用ではなく、ビジネス客がくつろいだり、あるいは仕事をするために使用されることを狙っているといえそうです。

 

 詳細はまだこれから発表される予定で、導入も2026年度とまだ先です。続報にも引き続き注目です。