東急電鉄は、2024年3月16日(土)に東横線、目黒線、新横浜線でダイヤ改正を実施しました。今回はこれについて、改正前後を比較しつつ考察します。

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1.平日下り18時台 普通列車1本増発

 平日18時台に、渋谷18:31発菊名行き普通列車が1本増発されました。

 

<改正前>

<改正後>

 

 改正前のダイヤでは、18:26~18:36まで普通列車の間隔が10分空いています。日中の普通列車が7~8分間隔で運行されていること、夕ラッシュピーク時間帯であることを考えると、運行間隔が開いてしまっている状態といえたので、増発により是正されたのはよかったと思います。

 

2.平日20時台 急行の普通列車化

 平日20時台の急行武蔵小杉行き2本が、普通列車に変更されました。

 

<改正前>

<改正後>

 

 改正前には、20時台に2本武蔵小杉止まりの急行が運行されていました。この急行列車は先行する普通列車を追い抜かず、武蔵小杉より先の駅や急行通過駅へ行く人にとっては使えないものでした。さらに、普通列車の後をついて武蔵小杉まで向かっていたので、所要時間も普通列車とほとんど差がない状況でした。それでいて普通列車の運行間隔が8~9分空いていたので、急行を各駅停車化して運転間隔を調整したとみられます。

 

3.東急新横浜線 日中時間帯増発

 東急目黒線の日吉発着の列車(2本/h)を、新横浜発着に延長し、東急新横浜線(日吉~新横浜間)は毎時6本から毎時8本に増発となります。ダイヤがどのように変わったのか、早速みてみましょう。

 

<下り新横浜方面 改正前>

 

<下り新横浜方面 改正後>

 

 改正前は最大15分開いていた運転間隔が、改正後は7~9分間隔になり、新横浜へのアクセスがより便利になりました。また、武蔵小杉や日吉で、渋谷発毎時29分、59分発の急行から新横浜行きの列車に新たに乗換ができるようになったのも改正ポイントです照れ

 

<上り渋谷・目黒方面 改正前>

 

<上り渋谷・目黒方面 改正後>

 上りの増発列車は、相鉄線ー東急東横線直通列車(ピンク色の列車)の直後に新横浜を発車するダイヤとなりました。運行間隔は最大15分から12分に短縮されていますが、下りと違って運転間隔は不均等になっています。

 また、改正前の新横浜毎時27分、57分発の目黒線直通急行は、新横浜~日吉間で3分発車時間が早まっています(緑色の部分)。ダイヤパターンがやや崩れる形となりますが、運転間隔の是正を優先したとみられます。ただこれにより、日吉駅で渋谷方面への急行に新たに乗換ができるようになっています。

 

4.なぜ上り列車は不均等なダイヤなのか?

 こうしてみると、「なぜ下りと違って上りは不均等なダイヤなのか?」と思った方も多いでしょう。これには、大きく2つの理由が考えられます。

 

(1)東急新横浜線には、東急・相鉄・都営三田線・東京メトロ南北線・埼玉高速鉄道の車両が乗り入れていますが、このうち東京メトロと埼玉高速鉄道の車両は新横浜駅までしか入線できず、相鉄線直通列車には充当できません。このことが、ひとつダイヤ作成上の制約になっています。

(2)今回のダイヤ改正は、相鉄・東急いずれも自社線管内で完結する範囲でのダイヤ改正となっています。そのため、車両運用を極力変更しない形での改正とする必要があります。

 今回新横浜まで延長された列車の改正前後の行路を比較してみましょう。

 

<パターン1>

改正前:…赤羽岩淵11:43、11:45→(普通日吉行き)→日吉12:52、13:13→(普通赤羽岩淵行き)→赤羽岩淵14:19、14:21→…

 

改正後:…赤羽岩淵11:43、11:45→(普通新横浜行き)→新横浜12:59、13:05→(普通赤羽岩淵行き)→赤羽岩淵14:19、14:21→…

 

<パターン2>

改正前:…浦和美園11:46、11:55→(普通日吉行き)→日吉13:22、13:43→(普通浦和美園行き)→浦和美園15:10、15:19→…

 

改正後:…浦和美園11:46、11:55→(普通新横浜行き)→新横浜13:29、13:35→(普通浦和美園行き)→浦和美園15:10、15:19→…

 

 ご覧の通り、新横浜発着に延伸した部分以外は、変更点はありません。このように、車両運用に変更のない範囲でのダイヤ改正となったため、不均等な運転間隔にせざるを得なかったとみられます。

 

5.まとめ

 いかがでしたでしょうか。相鉄と同様、東急も自社線管内で完結するダイヤ改正となりました。東急東横線や新横浜線は他社線との直通列車が多く、ダイヤを抜本的に変更するのは非常に時間と労力がかかるため、相鉄・東急直通列車などを含めた大きな改正は数年単位で準備し、今回はすぐ手がつけられるところ、小規模な改正にとどめたと考えられます。

 ただそれでも、夕ラッシュ時の増発や混雑緩和、新横浜線の増発など、できることを着実に取り組み、利便性向上につながるダイヤ改正だったといえるでしょう。

 次回の改正では、もう少し大きな変化があるかもしれません。状況が今後どのように変わるのか、引き続き注目です。