3月16日、北陸新幹線が金沢~敦賀間で延伸開業し、週末を中心に多くの人で賑わっています。福井県や石川県加賀エリアから東京へ一本で行くことができるようになり、所要時間も短縮して利便性が大きく向上する一方、京阪神・名古屋~北陸の行き来においては、敦賀で必ず乗換が必要となるうえに、所要時間もそこまで短縮されていない、料金も上がるなどしたため、京阪神・名古屋~北陸間は”分断”されたとみる向きも少なくありません。

 そこで当局では、改正前後のダイヤを徹底比較したうえで、この”分断”について考えていきたいと思います。前編では関西~北陸間について分析します。

 

1.関西~北陸 全列車 改正前後比較

 まずは、改正前後の時刻を比較してみましょう。ざっと見ていただき、どれくらい速くなったのかを感じていただければと思います。

 

<大阪・京都→福井・金沢・富山 改正前>

 

<大阪・京都→福井・金沢・富山 改正後>

 

<富山・金沢・福井→京都・大阪 改正前>

 

<富山・金沢・福井→京都・大阪 改正後>

 

 いかがでしたでしょうか。恐らくご覧になった方によって、感じ方は相当分かれるかと思います。

 

2.前提

 京阪神~北陸間の往来は、大阪~敦賀間は特急「サンダーバード」、敦賀~金沢・富山は新幹線「つるぎ」が担当し、両者を敦賀で乗り継ぐスタイルとなっています。敦賀駅での標準乗り換え時間は8分に設定されており、「サンダーバード」と「つるぎ」の乗り継ぎについても、8分以上確保されています。

 

 

3.関西~富山

 まず、関西~富山間をみてみましょう。改正前のダイヤでは、大阪~富山間は3時間10~20分かかっていましたが、改正後は約2時間50分、最速は約2時間35分となりました。改正前までは最速でも3時間5分程度かかっていたことを考えると、総じて30分短縮されたことになります。

 2015年の北陸新幹線金沢延伸の際に、サンダーバードは富山へ乗り入れなくなり、金沢で乗換が必要となったため、関西~富山の移動は不便になりました。改正後も敦賀での乗り換えは必要ですが、新幹線区間が長くなったことで、大幅に所要時間が短縮されることとなりました。

 

4.関西~金沢

 次に、関西~金沢間をみてみます。改正前のダイヤでは、速達タイプの「サンダーバード」で大阪~金沢間は約2時間30~35分、停車タイプの「サンダーバード」では同区間を約2時間40~50分で走り抜けていました。

 改正後のダイヤを見ると、速達タイプの「つるぎ」利用で約2時間10~15分、停車タイプの「つるぎ」利用で約2時間25~30分程度となっています。こうしてみると、総じてみれば15~20分所要時間が短縮されています。

 しかし、改正前の「サンダーバード」速達タイプを利用した場合と、改正後の停車タイプの「つるぎ」+「サンダーバード」利用を比較すると、所要時間は大差がないことが分かります。

 

(例)

改正前:金沢8:05→(特急サンダーバード10号)→大阪10:39 2時間34分

改正後:金沢8:02→(つるぎ9号)→敦賀8:59、9:07→(特急サンダーバード10号)→大阪10:33 2時間31分

 

5.関西~福井

 関西~福井間は停車駅に大差がなく、列車ごとの所要時間もそこまで大きくありません。改正前の大阪~福井間の所要時間は約1時間50分~2時間00分となっています。

 そして、改正後の同区間の所要時間ですが、約1時間45分~1時間55分となっており、総じてみても短縮時分は5分前後となっています。これだけわずかな短縮にも関わらず、敦賀での乗り換えが必須となり、1,000円以上余計にかかるようになるというのは乗客にとって新幹線延伸のメリットがあまりないような気がします。

 

6.まとめ

 ここまで関西~北陸各都市の所要時間を分析してみましたが、まとめてみると

富山:新幹線区間の延伸により、関西への所要時間が大幅に短縮

金沢:関西への所要時間は短縮したが、乗り換えが必須となったこと、時間帯により所要時間に大差がないことで、いまいち新幹線延伸効果が実感しづらい

福井:新幹線区間が短く、所要時間短縮がほとんどない。乗り換え必須や料金アップを踏まえると、利便性が下がったと捉えることもできてしまう

 

 といえるでしょう。少なくとも、関西~福井間に関しては、”分断”された感が否めません。

 

 ここまで、関西~北陸間について分析してみましたが、名古屋~北陸間についてはどのように変化したのでしょうか。その2では名古屋~北陸間について詳しく考察しますのでお楽しみに!!