JR東海が2024年3月16日に実施するダイヤ改正、在来線では中央西線で大きな変化が起こります。改正前後の時刻を比較して考察するコーナー、第2回は中央西線について分析します。

https://jr-central.co.jp/news/release/_pdf/000043113.pdf

 

1.概要

 まず初めに、中央西線のダイヤ改正の内容をおさらいしてみましょう。

 

(1)名古屋~中津川間の普通・快速列車の使用車両が、新型車両315系8両編成に統一されます。これにより、最高速度が110km/hから130km/hに引き上げられ、名古屋~多治見間で平均1分、名古屋~中津川間で平均3分所要時間が短縮となります。

(2)日中の快速列車は、「区間快速」に格下げされ、新守山・神領に停車します。併せて、名古屋~高蔵寺間の普通列車毎時2本が減便となります。

 

 日中のダイヤが変更されることになりましたが、改正前後でどのように変わるのでしょうか。下の比較表をご覧ください。

 

〇下り 中津川方面

〇上り 名古屋方面

 

 新設される区間快速は、名古屋~高蔵寺間、多治見~中津川間は各駅に停車し、定光寺・古虎渓のみ通過します。名古屋駅を発着する普通・快速列車は、毎時8本(概ね7~8分間隔)から毎時6本に減便されます。

 名古屋~高蔵寺間は減便となってしまうのですが、それでも極力10分間隔で列車が設定されており、減便による混雑の激化を防ぐ措置がとられているといえます。日中の中央西線は、以前は4両や6両編成での運転もあったようですが、315系8両に統一されたことにより、列車1本あたりの輸送力がアップしました。それを踏まえての減便とみられます。

 もう一つ注目すべきは、改正後の区間快速の所要時間です。改正前後の時刻を見比べると、改正前の快速と改正後の区間快速で、名古屋~多治見・瑞浪・中津川方面の所要時間がほぼ変わっていないことが分かります。

 これは、315系に統一されたことにより、130km/hへスピードアップするためです。要は、新守山・神領に新たに停車することでロスする時間を、スピードアップにより相殺するというわけです。

 ぱっと見ると、なぜ2駅通過という中途半端な形の区間快速を新設したのか疑問に思うところですが、名古屋~多治見方面への利便性低下を抑えるためであることが分かります。2駅だけ通過にはちゃんと意味があったのです。

 

〇まとめ

 いかがでしたでしょうか。中央西線のダイヤ改正は、315系8両編成に車両が統一されたことでなしえたダイヤ改正でした。名古屋口は減便されるものの、毎時6本運転本数は確保され、またスピードアップにより快速列車の所要時間増大を抑えるなど、工夫の光るダイヤ改正のように思います。

 改正後、利用状況がどのように変わるのか、引き続き注目です。