宇都宮ライトラインは21日、4月1日に実施するダイヤ改正の概要を発表しました。今回はこれについて分析します。なお、ダイヤ改正日はJRや大手私鉄などとは異なり、4月1日ですのでご注意ください。

 

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1.平日の所要時間短縮

 平日の各駅停車の全線の所要時間が、48分から44分に短縮されます。土休日は従来通り48分のままです。平日の利用者の大半は通勤通学客であり、ICカード定期券などキャッシュレス乗車をしている人が多く、乗降が開業当初に比べてスムースになったことから、乗降にかかる時間を短縮しても支障なしと判断したとみられます。

 一方、土休日については、普段通勤通学で利用しない方が買い物やお出かけで利用し、現金で運賃を支払う方も一定数いることから、所要時間を据え置いたとみられます。

 

2.通勤通学時間帯の増発

 朝時間帯(始発~8:30)の宇都宮駅東口発下り列車の運行本数が、18本から20本へ増発されます。また、帰宅時間帯(18~20時台)の宇都宮駅東口着の上り列車が4本増発されます(18時台:1本 19時台:1本 20時台:2本)

 資料には「増発や運行区間の見直し」とあることから、純粋な増発に加え、現行ダイヤで平石発着となっている列車を芳賀・高根沢工業団地発着もしくはグリーンスタジアム前発着に区間延長する列車もあるとみられます。

 

3.快速列車の新設

 開業当初から快速列車の導入は既に決まっていましたが、ついに正式に設定されることになりました。要点は

(1)設定時間帯は朝ラッシュピーク時間帯(宇都宮駅東口発6時台後半~7時台)

(2)下り列車芳賀・高根沢工業団地行きのみの設定で、上り宇都宮駅東口行きは設定なし

(3)停車駅は宇都宮大学陽東キャンパス・平石・清陵高校前・清陵高校前~芳賀・高根沢工業団地間の各停留所となり、7停留所を通過する

(4)所要時間は全線で42分であり、本数は不明

 

<参考:宇都宮ライトレール路線図>

 

 以前から注目されていた快速列車の停車駅ですが、快速運転は宇都宮駅東口~清陵高校前間にとどまりました。清陵高校前以東は清原地区・ゆいの杜・芳賀台など、工場が立ち並ぶ地域を連続して通るため、各停留所停車としたとみられます。

 また、設定時間帯も下りの朝ラッシュ時にとどまりました。宇都宮駅発7時前後が、ライトラインが最も混雑する時間帯であり、この時間帯は宇都宮駅東口から芳賀・高根沢工業団地まで全線通して乗車する通勤客も多く、混雑も激しくなっています。

 所要時間は全線で42分とされ、各駅停車と2分しか変わりません。そのため、途中駅での各駅停車の追い越しはないとみられます。速達化というよりは、長距離利用者を快速へ、短距離利用者を各駅停車へ誘導することで、遠近分離による混雑緩和を図るというのが最も大きな目的とみられます。

 なお、資料には明記されていませんが、2の朝夕時間帯増発と3の快速列車新設は平日のみの設定とみられます。

 

4.まとめ

 いかがでしたでしょうか。今回のダイヤ改正の目的は、平日の通勤通学時間帯の混雑緩和であり、利用実態に即した改正といえるでしょう。

 開業から半年が経過し、利用客もライトラインに乗車に慣れ、乗降がスムースになったことも大きいでしょう。それにより所要時間の短縮がなされ、増発も可能になったとみられるからです。

 快速列車については、「今後停車駅を変更する可能性がある」とされています。当初、快速の全線の所要時間は37分とされていたことも踏まえると、今回の快速導入は通勤通学時間帯の混雑緩和のための試験的な導入であり、次回以降の改正でまた設定が変わることになりそうです。

 

 宇都宮ライトラインは順調に利用者を増やしており、今後も沿線開発等で利用者が増える可能性を秘めています。また、軌道区間での速度向上も検討されており、こうした変化により運転本数や快速列車の設定も変わっていく可能性があります。

 今後宇都宮ライトラインがどのように利用されていくのか、それにより運行形態がどのように変わっていくのか、まだまだ目が離せません!!

 

5.追記

 宇都宮ライトラインの利用状況については、交通系YouTuber:キャンさんの動画をご覧になることをおすすめします。私もかなり参考にさせていただいています。

 キャンさんは毎月宇都宮ライトラインの利用状況に関する動画を投稿されており、日常の利用状況がとても分かりやすいものになっています。キャンさんの動画をご覧になると、今回のダイヤ改正の内容についてより深く納得できると思います。