西武鉄道は24日、今年3月16日に実施するダイヤ改正の概要を発表しました。今回はこれについて分析します。

https://www.seiburailway.jp/file.jsp?newsroom/news/file/20240124_daiyakaisei.pdf

 

1.本改正の目玉

 今回の改正で一番のポイントは、西武新宿線の復便にあります。西武新宿線では、平日日中(西武新宿駅基準12~15時台)について、急行5本/h、普通5本/hに減便していましたが、次の改正で急行6本/h、普通6本/hとなります。また、拝島線の小平~玉川上水間、国分寺線の国分寺~東村山間も5本/hから6本/hへ増発(復便)されます。

 これらの区間では、コロナ禍以前の運行本数に戻ることとなりました。他社線ではなかなか日中の列車が復便される例がないだけに、これはありがたい改正となります照れ

 

2.池袋線・秩父線 特急列車関係

(1)「むさし14号」が飯能7:23発→池袋8:14着に変更され、通勤により便利な時間帯の設定となります。また、「むさし20号」(飯能8:45→池袋9:33着)が増発されます。これにより、飯能駅8時台は特急列車が毎時2本→3本の設定となります。

 池袋9:33着だと、通勤には少し遅い時間帯ではありますが、東京への用務客の利用も見込んでの増発と思われます。

(2)土休日の「むさし78号」(飯能15:35発)は、西武秩父始発に延長され、「ちちぶ76号」(西武秩父14:49発→飯能15:31発→池袋16:15着)として運転されます。

 

3.新宿線・拝島線 特急・有料列車関係

(1)平日の拝島ライナー2号(拝島6:18発→西武新宿7:02着)が増発されます。現行の拝島ライナー2号については、拝島ライナー4号として設定され、以下の通り変更となります。

現行 :拝島6:28発→西武新宿7:20着

改正後:拝島6:48発→西武新宿7:36着

 

 西武新宿に7時台に到着する拝島ライナーが1本から2本に増発されるので、より快適な通勤が実現しやすくなるといえます。

 

(2)平日の西武新宿9時台、10時台の特急「小江戸」が1本ずつ、計2本減便となります。また、平日の16・17時台に運行される特急「小江戸」西武新宿行き各1本、計2本が本川越始発から所沢始発に変更されます。

 対象列車は具体的に明かされていませんが、小江戸7号(西武新宿9:00発)、小江戸11号(西武新宿10:00発)、小江戸30号(本川越16:02発)、小江戸34号(本川越17:00発)である可能性が高いです。

 小江戸7・11号については、西武新宿から本川越まで運行した後、回送列車として折り返し、南入曽車両基地に帰っていきます。また、小江戸30号・34号については、南入曽車両基地から本川越まで回送列車で送り込み、本川越から特急「小江戸」号として西武新宿まで向かうダイヤとなっています。

 改正後の小江戸7・11号については、西武新宿→南入曽車両基地へ直接回送する、小江戸30・34号については南入曽車両基地から所沢へ回送し、所沢始発とする。こうすることで、南入曽車両基地~本川越の回送列車の本数を2往復削減できるため、これが狙いとみられます。

 

4.池袋線系統 一般列車

(1)平日夜の池袋線→狭山線の最終乗り継ぎについて、以下のように変更となります(10分繰り下げ)

現行 :池袋23:02→(準急)→西所沢23:38、23:40→(西武狭山線普通)→西武球場前23:46

改正後:池袋23:12→(急行)→西所沢23:39、23:40→(西武狭山線普通)→西武球場前23:46

 

 現行の池袋23:14発急行飯能行きは、西所沢23:41着のため、1分差で西武狭山線の最終列車に乗り継げない状態となっています。この改正で急行の発車時刻が2分繰り上がり、西武狭山線に接続できるようになるというわけです。こうした細かい改正を積み重ねることも、とても重要です。

 

(2)平日の21時台の優等列車及び23時台の各駅停車が1本ずつ減便となります。対象列車は不明です。

(3)土休日の飯能発9時台の普通西武秩父行きが1本減便となります。対象列車は9:32、9:47のいずれかで、2本を1本に統合して輸送力を調整するものとみられます。

 飯能9:47発の普通列車は、横瀬で秩父鉄道直通長瀞行きに接続するため、統合後の普通列車は飯能発9:47前後ではないかと推測しています。

 

5.新宿線系統 一般列車

(1)平日の本川越発8時台の準急1本が急行に変更となります。急行の運転間隔が空いている時間帯を踏まえると、対象列車は本川越8:08発ではないかとみています。なお、急行格上げにより通過となる駅については、普通列車を延長して対応すると思われます。

(2)平日の拝島発6時台の準急2本のうち、1本は急行、1本は各駅停車に変更となります。現行ダイヤで拝島6:17発の準急が時刻変更のうえ普通列車に、拝島6:41発の準急が急行になるものと思われます。(拝島6:51発の急行は拝島6:48発の「拝島ライナー4号となり、その代替に6:41発の準急を急行に格上げすると予想)

(3)土休日の西武新宿21:44発の普通新所沢行きが、本川越行きに延長されます。この普通列車は西武新宿22:01発急行拝島行きから乗り継ぎ可能な列車であり、21時台後半の利便性が向上します。

(4)平日夜の多摩湖~西武球場前間で2往復増発となります。これにより、18~19時台の運行本数が2本/hから3本/hに増発されます。

 

6.まとめ

 いかがでしたでしょうか。全般的にコロナ禍以前に戻る動きが多くみられ、明るい話題があったように思います。首都圏においても減便された列車の復便はあまり進んでいないことを踏まえると、英断だということもできるでしょう。

 特急列車は池袋線系統は充実した一方、新宿線は平日に減便という形となりました。回送列車の運行を削減しつつ、効率的なダイヤを模索していることがうかがえました。

 コロナ禍が明け、今後どのような移動の変化が起こるか注目です。