JR東海が12月15日に発表した2024年3月ダイヤ改正の概要について、今回は在来線について分析します。

https://jr-central.co.jp/news/release/_pdf/000043113.pdf

 

※記事中の図は、JR東海プレスリリースから引用しています。なお、改正前後の時刻表については筆者作成

 

1.中央本線

(1)普通・快速列車の315系統一

 名古屋~中津川間を走る普通・快速列車は、全て315系8両編成に統一されます。これに伴い、普通・快速列車の最高時速が110km/hから130km/hに引き上げられ、名古屋~多治見間で平均1分、名古屋~中津川で平均3分、所要時間が短縮されます。

 315系に統一されるタイミングで、最高時速の引き上げがなされるのではないかという声は以前から出ていましたが、130km/hまで引き上げるのは予想外であり、私を含め驚きをもって受け止められました。

 

(2)日中時間帯の減便及び快速列車の格下げ

 日中時間帯に名古屋~瑞浪・中津川間を走る快速列車は、区間快速に格下げされます。区間快速の停車駅は、名古屋~高蔵寺間の各駅と、多治見~中津川間の各駅で、定光寺・古虎渓の2駅のみ通過となります。

 

 快速列車の格下げにより、新守山・神領の停車列車は毎時5本→毎時6本に増えますが、総じてみると名古屋~高蔵寺では毎時8本(7分半間隔)から毎時6本(10分間隔)に減便となります。高蔵寺~中津川間の運行本数は変更ありません。

 このプレスリリースをもとに、改正前後の時刻表を作成してみると、おおむね次の通りとなります。

 快速が区間快速に格下げされる関係で所要時間が増大する一方、快速の通過駅が元々少ないこと、315系統一による最高時速引き上げにより、高蔵寺~中津川間は現行ダイヤと大差ないものになるとみられます。

 2駅だけ通過する区間快速という設定は半端な感もありますが、全列車各駅停車にしなかったのは、定光寺・古虎渓の乗降客が周辺駅と比べて少ないこと、名古屋から多治見・土岐市・瑞浪方面への所要時間増大を抑える狙いがあるとみられます。

 

2.身延線

(1)平日の朝時間帯に西富士宮発富士行きが1本増発されます。

 現行ダイヤでは、富士駅に7時前後に到着する列車の運転間隔が16~18分空いていますが、これが是正されます。

 

(2)日中時間帯の減便

 身延線の富士~西富士宮間において、日中時間帯に3往復減便となります。これにより、富士~西富士宮間については、9

~14時台は毎時2本、15時台は毎時3本の運転となります。

 現行ダイヤにおいても既に毎時2本の時間帯があるため、減便して日中は毎時2本に統一しても支障が少ないと判断したとみられます。利用者の少ない日中を減便するかわりに、利用者の多い平日朝は増発することとなりました。

 なお、西富士宮~甲府方面については、大きな変更はないとみられます。

 

3.飯田線

 飯田線の豊橋~豊川間において、豊橋方面行き列車3本、豊川方面行き列車5本が減便となります。これにより、12~13時頃の豊橋~豊川間は毎時2本となります。

 現在、普通列車のうち毎時1~2本は船町・下地を通過していますが、普通列車の減便に伴い、12~14時台は船町・下地に普通列車が全て停車となります。豊川~飯田方面については、大きな変更はないものとみられます。

 豊橋から豊川方面へ向かう列車が多く減便しており、13時台は本数が半減するのが特筆すべきポイントかと思います。豊川から名古屋方面へ行くには名鉄利用が一般的であり、それゆえに豊橋へ向かう人が多くないのかもしれませんが、他の線区より厳しい変更であるという感は否めません。

 

4.東海道線

https://jrtoukairou.sakura.ne.jp/koe/sizuoka/2023.12.15sizuokagyoumu4.pdf

(1)JR東海労静岡地方本部のホームページによると、静岡地区の東海道線において、ダイヤパターンの変更が行われます。詳細な内容は不明ですが、時刻や行き先が変更となる可能性が高いです。

(2)東海道線の熱海~沼津間において、運転形態が変更となるようです。これについては、JR東日本横浜支社管内のダイヤ改正解説記事をご覧ください。

 

 

5.まとめ

 いかがでしたでしょうか。増発テコ入れが目立った新幹線とは対照的に、在来線では減便基調のダイヤ改正となりそうです。特に飯田線については、本数が半減する時間帯もあり、思い切った減便ということもできるでしょう。

 JR東海は新型コロナ禍以降も、深夜帯で多少減便した程度で、大きな減便をしていませんでしたが、遂に減便を実施することになったというところです。ただし、中央西線では最高時速引き上げにより所要時間増大を抑えにかかったり、身延線では平日朝に増発したりするなど、利便性の低下を食い止める動きがあるのも確かです。今後、在来線の利用がどう変化するのか注目です。