JR東海が12月15日に発表した2024年3月ダイヤ改正の概要、今回は東海道新幹線について分析します。

 

https://jr-central.co.jp/news/release/_pdf/000043113.pdf

※記事中の図は、JR東海プレスリリースから引用しています。

 

1 早朝・夜間の臨時「のぞみ」増発

 早朝に東京発新大阪行き1本、夜間に新大阪発東京行き2本の臨時列車が設定されます。

 特徴的なのは、東京行き最終列車「のぞみ64号」の後に、新大阪始発の臨時列車が設定されることです。「のぞみ64号」は博多~東京間の最速列車であり、かつ停車駅各駅から東京へ向かう最終列車です。それゆえ、多客期の「のぞみ64号」は非常に混雑しています。

 そのため、新大阪始発の臨時「のぞみ」を、この「のぞみ64号」の後に走らせることで、大阪・京都・名古屋から首都圏へ帰る乗客を分散させる狙いがあります。

 

2 新横浜始発臨時「のぞみ」、多客期に山陽新幹線乗り入れへ

 前回のダイヤ改正で新設された、新横浜6:03発の臨時「のぞみ491号」新大阪行きですが、連休初日などの多客期は博多行きとして運行されます。

 この新横浜始発の臨時「のぞみ」は、相鉄・東急直通線の開業により需要増加が見込まれたことから設定されたのですが、わずか1年で拡充されることとなりました。相鉄沿線・東急沿線を中心に、堅調な利用があったものと思われます。

 この臨時「のぞみ」は、首都圏から名古屋や関西に向かう一番列車ですが、改正後は岡山・広島・博多方面への一番列車になる日も出てくることとなります。また、在来線乗り継ぎで高松へは約30分、山口へは約1時間早く到達できるようになります。こうしてみると画期的ですね爆  笑爆  笑

 

3 山陽新幹線直通「のぞみ」 夜間帯一部変更

 岡山行き最終「のぞみ93号」及び姫路行き最終「のぞみ95号」が一部変更されます。

 のぞみ93号は、東京発車を6分繰り下げ、西明石駅は通過に変更となります。これにより、東京~岡山間の所要時間が7分短縮されます。また、のぞみ95号は西明石駅に停車するようになり、京都から姫路まで各駅に停車します。東京から西明石や岡山へ帰る場合、東京での滞在時間が長くなります。

 のぞみ95号は停車駅が1駅増えるにも関わらず、東海道新幹線内での所要時間短縮により、東京~姫路間は2分短縮となります。(恐るべしN700系…びっくり

 

4 のぞみ64号 所要時間短縮

 先に紹介した、博多発東京行き最終「のぞみ64号」の所要時間が1分短縮され、博多発が18:59から19:00となります。博多から東京まで最速の4時間45分で結び、最終列車かつ最速列車がさらに進化します!!

 

5 静岡・浜松・豊橋「ひかり」新規停車

 下り夜間帯に、静岡・浜松・豊橋に各1本ずつ「ひかり」が新たに停車します。

 これにより、静岡・浜松・豊橋の「ひかり」の列車間隔が是正され、首都圏からの帰宅がより便利になります。特に豊橋は3時間近く下り「ひかり」が停車しない時間帯があり不便でしたが、この改正で是正されます。

 

6 こだま号輸送改善

(1)下り三島始発「こだま」繰り上げ

 現行は静岡始発6:38の「こだま765号」が三島始発となり、三島~静岡間で1本増発となります。これにより、三島や新富士から静岡で「ひかり533号」へ乗り継ぐことができるようになり、名古屋や京阪神へのアクセスが飛躍的に向上します。

 在来線も含めて比較しても、

改正前:三島5:32→(東海道線普通)→富士5:58→静岡6:32、6:42→(ひかり533号)→新大阪8:13

改正後:三島6:14→(こだま765号)→新富士6:24→静岡6:35、6:42→(ひかり533号)→新大阪8:13

となり、大幅に所要時間が短縮となります!!

 

(2)下り静岡始発「こだま」繰り上げ

 静岡からの下り一番列車「こだま763号」の発車時刻が5分繰り上がります。

 これにより、名古屋で名古屋始発の「のぞみ273号」に乗り換えることができるようになるため、京都や大阪へ15分ほど早く到達できるようになるほか、岡山・広島・小倉・博多へは20分以上も早く到達可能となり、利便性が大幅に向上します!!

 

(3)上り「こだま」区間延長

 現行ダイヤでは三島始発の「こだま818号」が浜松始発に延長され、静岡始発の「こだま820号」が三島始発に短縮されます。

 現行ダイヤでは「こだま818号」は平日のみ運転となっていますが、改正後はこだま818号が毎日運転、820号が平日のみ運転に変更されるものと思われます。

 結果的に、浜松~静岡間で1本増発されており、浜松・掛川から静岡・東京方面への移動が便利になります!!

 

7 新型車両「N700S」の追加投入

 ビジネスブースを備えた新型車両「N700S」で運行される列車が増え、定期「のぞみ」28本が「N700S」で運転されます。

 

8 まとめ

 いかがでしたでしょうか。こうしてみると、主力列車の「のぞみ」はもちろんのこと、「ひかり」「こだま」についても大きくテコ入れがなされ、「のぞみ」通過駅においても恩恵のあるダイヤ改正となりそうです。

 特に静岡地区においては、利便性が大幅にアップします。リニア建設を進めるべく、静岡県に便宜を図ったという可能性もありますが、それ以上に東海道新幹線の沿線の乗客を確保維持するための取り組みではないかと考えています。

 というのも、北陸新幹線の開業により、首都圏~北陸の移動客が少なからず東海道新幹線から北陸新幹線へシフトすることが見込まれているからです。乗客減の影響を最小限にするためにも、静岡地区や豊橋・三河安城などの三河地区からの利便性を上げ、沿線住民により使ってもらうようにするのが狙いではないでしょうか。

 今までは「のぞみ」中心のテコ入れ策が多かったですが、今回は一味違い、全体的に進化した感じがうかがえます。さらなる進化を見せる東海道新幹線、今後の展開が楽しみです爆  笑