JR各社は本日、2024年3月のダイヤ改正の概要を発表しました。このブログでも改正の概要について順次解説していきたいと思います。トップバッターはJR東日本千葉支社のダイヤ改正について分析します。

https://www.jreast.co.jp/press/2023/chiba/20231215_c01.pdf

 

※写真以外の資料は、特に断りのない場合、JR東日本のプレスリリースから引用しています。

 

1.特急列車の全車指定席化

 房総特急「しおさい」「わかしお」「さざなみ」が全車指定席となり、自由席はなくなります。詳細はこちらの記事をご覧ください爆  笑

 

 

2.255系は定期運用離脱、「しおさい」はE259系を充当へ

 

 長らく房総半島各線で活躍してきた255系(下の写真の車両)は、次回のダイヤ改正をもって定期運用からは退き、臨時列車用の車両となります。

 

 今後、外房線の特急「わかしお」、内房線の特急「さざなみ」については、全列車がE257系500番台5両で運行されます。

 現在は9両や10両で走っている列車もありますが、「さざなみ」「わかしお」は全て5両編成に統一され、一部列車は減車となります。

 そして、総武本線を走る特急「しおさい」はというと、なんと特急「成田エクスプレス」で使用されているE259系が充当されることとなりましたびっくり

 

3.総武本線 特急「しおさい」

(1)次のダイヤ改正以降は、朝の上り2本と夜間の下り2本(いずれも平日のみ運転)を除き、「しおさい」はE259系に統一されます。東京~銚子間を通して走る「しおさい」は全てE259系となります。

 

(2)平日、土休日とも以下の通り減便となり、朝夕中心の運行になります。

 

(3)船橋駅には、現在土休日に1往復のみ停車していますが、改正後は全ての「しおさい」が船橋駅に停車します。また、「しおさい7号・8号・9号」が四街道に停車します。通勤時間帯を中心に設定したこと、停車駅を増やしたところをみると、通勤客や短距離利用者(東京~船橋・千葉・四街道)の特急利用を増やしたいという意図がうかがえます。

 

4.「わかしお」「さざなみ」

(1)わかしお

 外房線を走る特急「わかしお」は、減便主体の改定となります。

 

 「わかしお」においても、全体的に減便傾向にあります。特に土休日の減便が目立つ形となり、朝夕中心の設定になっているのも特徴です。

 

(2)さざなみ

 内房線の特急「さざなみ」は、下り1本(9号:東京21:30発→君津22:39着)が減便となります。夜遅い時間帯ということもあり、利用者が少なかったものと思われます。

 

(3)新宿さざなみ・新宿わかしお

 臨時特急「新宿さざなみ」「新宿わかしお」は、改正以降も土休日を中心に設定されます。なお、秋葉原・津田沼は通過に変更となります。新宿さざなみ・新宿わかしおともに、船橋・津田沼と連続停車していたので、より利用者の多い船橋に絞ったものとみられます。秋葉原駅は停車でもよい気がしますが、秋葉原で乗りつぐ客が多くなかったのかもしれません。

 

5.成田エクスプレス

 今回の千葉支社の改正で一番評価できるのは、特急「成田エクスプレス」の改正です。順にみていきます。

 

(1)千葉駅・佐倉駅の新規停車

 成田エクスプレス3号・5号成田空港行きが千葉駅に新規停車します。千葉から成田空港へ向かうだけでなく、東京方面から千葉へ通勤するのにもちょうどよい時間帯ですね照れ また、成田エクスプレス47・49・4号が佐倉に新規停車します。こちらは東京への通勤客を考慮した停車とみられます。

 

 

(2)運行間隔の調整

 大船発・新宿発の成田エクスプレス5号は廃止となり、代わりに新宿発成田空港行き成田エクスプレス13号(東京9:30発)が新設されます。

 現行では、7時台は15分間隔で設定がある一方、9時台は1本しかなく、1時間運行間隔が空いています。これが是正され、7時台~19時台まで概ね30分間隔に揃えられます。

 横浜方面からは1本減となりますが、運転間隔が揃い、覚えやすいダイヤとなるのはよいと思います。

(3)中央線への乗り入れ廃止

 現在、中央線に直通し、八王子発着で運行されている成田エクスプレスが2本ありますが、いずれも新宿発着に短縮され、中央線への乗り入れは廃止されます。

 利用者が多くなかったであろうこと、そして「しおさい」へ充当する車両を捻出するための措置と思われます。

 

(4)料金体系の変更 (一番評価できるポイント)

 そして大きく変わるのが、料金体系の変更です。次回のダイヤ改正以降、成田空港・空港第2ビルを発着駅に含まないで成田エクスプレスを利用する場合は、特急「しおさい」「わかしお」「さざなみ」に導入されるものと同様の、新しい料金体系が適用されます。

 例1:東京・品川・新宿~千葉

現行:1,290円(えきねっと:830円)→ 改正後:760円(えきねっと:660円)

 

 例2:武蔵小杉・横浜・戸塚・大船~千葉

現行:1,730円(えきねっと:1,120円)→改正後:1,020円(えきねっと:920円)

 

 例3:武蔵小杉・横浜・戸塚・大船~品川・東京

現行:1,290円(えきねっと:830円)→ 改正後:760円(えきねっと:660円)

 

 こうしてみると、現行よりかなりお得に成田エクスプレスを利用できることが分かります。普通列車のグリーン料金も次の3月ダイヤ改正で値上げがなされる予定で、普通・快速の自由席グリーン車とほぼ同額の値段で成田エクスプレスに乗れてしまいます。千葉から東京・横浜への移動であれば、快速グリーン車より成田エクスプレスのほうが断然お得といえましょう。

 また、恩恵は千葉だけにとどまりません。例3で示す通り、横浜方面から東京への通勤にも使えます。横須賀線内の成田エクスプレスはガラガラなことが多いので、このように料金を下げてでも特急の利用者増を狙うのがよいと思います。

 

6.まとめ

 いかがでしたでしょうか。「しおさい」へのE259系充当は、既に多くの方が予想していたこともあり、あまり驚きはありませんでした。

 一番の評価ポイントは、空港利用でない場合に、成田エクスプレスをよりお得な料金で利用できるようになることです。これにより、横浜~千葉、東京~千葉など、空港アクセス以外の用途で成田エクスプレスががぜん使いやすくなるでしょう。

 かつては空港アクセス専用機でしたが、新型コロナ禍を経て、水物の観光客利用だけでなく、より堅い通勤利用なども積極的に取り込む姿勢がうかがえます。そう考えると、成田エクスプレスはまだまだ伸びしろがあるように感じます。今回の改正はある意味、成田エクスプレスの転換ともいえる改正といえるでしょう。

 一方、255系が定期運用から離脱することになっても、新型特急車両は導入されず、減便したうえで他の既存の車両を使い続けるという結果になりました。新型車両を導入してから255系を退かせれば減便せずに済んだのに…とも思いますが、利用が回復基調にある今も、房総特急はその波に乗り切れていないのか?と心配になる状況です。

 

 特急列車も成田エクスプレス以外はあまり明るい話題がないのですが、一般列車のほうはもっと心配になるような内容が提示されました。一般列車については次回分析しますのでお楽しみに照れ