JR東日本は7日、来春のダイヤ改正より、上越新幹線下り(新潟方面)の最終列車を20分程度繰り上げることを発表しました。今回はこれについて分析します。

https://www.jreast.co.jp/press/2023/20231107_ho03.pdf

 

1.概要

 開始日は具体的な記載されてはいないものの、ダイヤ改正日と予想される3月16日(土)からと思われます。JR東日本は終電繰り上げの理由を挙げていますが,要約すると「作業人員が不足する中、地震対策工事や保線工事は行わなければならない。そのため、夜間の作業時間を増やすために最終列車を繰り上げる」ということになるかと思います。

 上越新幹線の最終列車は、新潟行き(東京21:40発)、越後湯沢行き(東京22:28発)、高崎行き(東京23:00発)の3本がありますが、どの列車が繰り上げ対象となっているかは現時点では不明です。

 しかし、高崎市が終電繰り上げの見直しを求めたこと、UX新潟テレビの報道を見るに、少なくとも新潟行き最終列車と高崎行き最終列車は繰り上げ対象になっていると考えられます。

 

 

 

2.改正後のダイヤ予想

 ここで、現行ダイヤと改正後の予想ダイヤをみてみましょう。改正後ダイヤはあくまでも一個人の予想ですので、鵜吞みにしないようお願いします。

 

<現行>

<改正後>

 

 私は、新潟行き・越後湯沢行き・高崎行きの各最終列車が全て20分程度繰り上がると予想しました。越後湯沢行き最終は20分繰り上げとすると「あさま633号」とバッティングするので、16分繰り上げと予想しましたが、24分繰り上げとして東京22:04発としてもおかしくはないと考えています。

 高崎行きの最終は東京22:40発になると思われますが、同じ北関東の主要都市である宇都宮への最終列車(なすの281号)も東京22:44発なので、20分繰り上げても決して早すぎ、ということにはならないのではないでしょうか。

 

3.在来線への乗り継ぎへの影響

 (1)新潟行き最終「とき351号」

 新潟駅からの越後線の吉田行き最終は23:32発、信越線新津行き最終が23:40発、白新線の村上行き最終が23:33発なので、いずれも現行「とき351号」からの乗り継ぎは不可能です。

 しかし、このとき351号が新潟に20分早く到着するようになれば、これらの在来線最終列車の発車時刻に乗り継げそうな気がします。恐らく、在来線側もダイヤ改正を行い、新潟着の最終「とき」にあわせて在来線の最終列車を発車させると思われます。

 長岡・燕三条の2駅については、そもそも現行「とき351号」到着の30分以上前に各方面への最終列車が発車しているので、終電繰り上げによる在来線接続への影響はありません。

 浦佐駅については、上越線の長岡行き最終が22:07発、石打行き最終が23:12発となっています。現行「とき351号」は浦佐23:19発なので、上越線への乗り継ぎはできませんが、改正後は石打行き最終に乗り継ぎ可能となるため、利便性が上がりそうです。

 

(2)越後湯沢行き最終「たにがわ417号」

 越後湯沢駅からの最終列車は、いずれの列車も現行「とき351号」到着の40分以上前に各方面への最終列車が発車しているので、終電繰り上げによる在来線接続への影響はありません。

 

(3)高崎行き最終「たにがわ477号」

 高崎線区間については現行ダイヤと同様、東京23:19発の普通高崎行きがフォローすることとなるでしょう。

 高崎から先の在来線最終列車ですが、信越本線の横川行き最終は23:12発、上越線の水上行き最終は23:06発、八高線の22:37発、上信電鉄の上州富岡行き最終は23:15発なので、現行「たにがわ477号」からの乗り継ぎは不可能です。

 両毛線については、高崎0:06発の前橋行きが接続していますが、前橋より先へは到達できません。改正後も到達可能な範囲は前橋までで変わらないため、終電繰り上げによる在来線接続への影響はありません。

 

4.まとめ

 いかがでしたでしょうか。東北新幹線や上越新幹線に接続する在来線の最終列車のダイヤを見る限り、今回の終電繰り上げは実に理に適っているといえます。

 20分終電を繰り上げても、在来線への接続に悪影響がないばかりか、むしろ新たに在来線への乗り継ぎが可能となるケースも想定され、在来線側のダイヤをうまく変えれば、利便性はむしろ上がるといっても過言ではないでしょう。

 思い返せば、JR西日本の京阪神エリアでの終電繰り上げにおいても、京都駅で東京方面からの最終「のぞみ」からの接続時間が短くなり、その点では利便性が向上したという例もあります。

 東北新幹線や北陸新幹線の最終列車の繰り上げについては、「引き続き検討」としていますが、在来線への接続に影響がなければ終電繰り上げを行う可能性は十分考えられます。深夜帯の鉄道利用が総じて減少傾向にあることをみても、作業時間の確保という観点で最終列車を繰り上げるのは必要な措置とも考えます。

 終電繰り上げと聞くと、その言葉尻だけを捉えて反発の声があがりますが、変えようによってはいいメリットをもたらすので、一概に悪いと決めつけず、多面的に見ていくことが大事なのではないでしょうか。