JR東日本東北支部は令和4年12月16日、2023年3月ダイヤ改正の概要を発表しました。今回はこれについてみていきます。

https://www.jreast.co.jp/press/2022/sendai/20221216_s01.pdf

 

<仙山線>

1.仙山線の快速停車駅は現行3パターンありますが、これが1つに統一され、わかりやすくなります。(画像はJR東日本プレスリリースから引用)

 

 これにより、仙台~愛子間は全列車が各駅に停車となる一方、楯山・高瀬は全ての快速が通過となります。

 

2.仙台~愛子間の普通列車が、下り1本増発、上り2本減便となります。ダイヤ改正の別添資料を参照すると、運行本数は以下の通り変更となるようです。

 

仙台~愛子 仙台行き34本 愛子行き32本→仙台行き32本、愛子行き33本

仙台~作並 仙台行き2本、作並行き1本→本数変更なし、時刻のみ変更

仙台~山形 18往復(うち快速7往復)→18往復(うち快速 仙台行き4本、山形行き3本)

 

3.早朝1往復および深夜の普通山形行き2本、普通仙台行き1本については、奥新川・面白山高原の2駅は通過となります。仙台と山形のちょうど中間に位置する山間部にある駅なので、利用が少ないための措置と思われます。

 

4.一部の快速列車が普通列車に格下げされます。これにより、前述した楯山・高瀬・面白山高原・奥新川などの快速通過駅の停車本数が増加するほか、最大3時間ほど空いていた運行間隔も2時間程度に是正されます。

 

→JR仙山線は、かつては特別快速も設定するなど、仙台~山形間を結ぶ高速バスと長らく対抗を行ってきました。しかしJR仙山線は所要時間が70~90分、運賃1,170円、快速と普通を含めて1時間1本程度の本数なのに対し、高速バスは所要時間70分、運賃1,000円であり、高速バスと比較して相当不利な状況にあります。

 仙山線は全線単線であるため、スピードアップと増発に限界があります。特に本数については、高速バスは日中でも1時間3~4本(15~20分間隔)、朝ラッシュ時はなんと4~5分間隔と山手線並みの運行頻度を誇っており、高速バスのほうが圧倒的に優位に立っています。

 そのため、仙台~山形での高速バス対抗はあきらめ、仙台都市圏内で利用客の多い仙台~愛子間や、これまで快速が通過していた駅の停車本数を増やし、途中駅からの利用者をキープする作戦に変更した、と考えられます。

 

<仙台空港アクセス線>

 仙台11:10発快速仙台空港行き、仙台空港12:16発快速仙台行きが普通列車に、仙台14:50発普通仙台空港行き、仙台空港11:36発普通仙台行きが快速列車に変更となります。なお、運行本数の変更はありません。

 

<陸羽東線>

 夕夜間の列車行先、運転間隔が変更され、小牛田から鳴子温泉方面への列車の運転間隔が調整されます。

 

<奥羽本線・左沢線>

1 東北新幹線アプローチ線設置工事のため、福島~庭坂間で普通列車3本が運休していましたが、改正後から運転が再開されます。なお、バス代行は改正をもって終了となります。

 

2 仙山線の列車時刻変更に伴い、山形新幹線・奥羽本線・左沢線の時刻が一部変更となります。

 

〇まとめ

 いかがでしたでしょうか。東北エリアの大きな改正としては、仙山線の方針転換が挙げられます。仙台~山形間は高速バスと大きな差がつくことになりますが、利用客のメインは仙台市内(仙台~愛子間)にあります。それであれば、無理に高速バスとの闘いをせずに、近距離利用者により利用しやすいダイヤに変更するというのは理にかなっていると考えます。

 一方、東北新幹線を中心に、前回の改定で多くの列車が臨時化されましたが、今回定期列車へ復元するという話題は上がりませんでした。コロナ渦もわずかながら落ち着き、人々の利用は戻りつつあるように感じますが、東北新幹線などの利用は思ったほど戻っていないのでは?と心配してしまいます。

 大きく方針を変えた仙山線を中心に、これからも各線区の利用状況の変化から目が離せません。